ソフトバンク松田宣浩内野手(29)が「元気侍」を襲名する。WBC日本代表首脳陣が10日、宮崎キャンプを視察。シート打撃で三塁線を破る二塁打を放ち、送球間に三塁までゲット。打力と走力で好印象を与え、守備と元気でも引っ張る姿に、山本監督から「ハッスルボーイ」の称号をもらった。

 ソフトバンクでWBC日本代表候補に選出されている6人で、総合点1位は間違いないだろう。そう、「走攻守+元気」の松田だ。山本監督の声が弾んでいた。「彼は『前に前に』というタイプの選手。ハッスルボーイですから。チームにとっても活気が出るプレーヤー。頼もしいですね」。侍ジャパン風に変換すれば「元気侍」といったところか。たった1度の視察で、しっかりキャラクターを印象づけてみせた。

 シートノックではホットコーナーから声を張り上げた。松田にあおられ、全体の声量もアップ。好プレーとミスのたびに腹の底から声があふれた。キャンプ第1クールでも「皆さん~、超!

 ガツガツ行きましょう」と、客席に向かって球団スローガンを叫び、拍手喝采を浴びた。代表でもムードメーカーの素養はきっと生かされるはずだ。

 シート打撃の第3打席では新人山中の内寄りの球を引っ張った。三塁線を強いゴロで襲った。一塁走者の本塁突入を刺す左翼からの送球を見て、その間に三塁を陥れた。「次の塁を狙うという意味でいい野球になった。打って守って走る。3つのアピールができました」。打力と走力の同時PRに成功。「(スピードが)あるから選んだんです」と山本監督を安心させた。

 打席では巨人長野を参考に、昨年より立ち位置を5センチ下げ、ホームベースから離れた。外角が広いとされる国際大会のストライクゾーン対策としては逆の発想ながら、「外のスライダーを追っかけ過ぎないのと、死球にならないため」と理由は明確だ。右足つま先をわずかに中に入れた内股打法も試行中。「右の内転筋に力をためるイメージ」と、代名詞の前さばき“前手ギュン打法”を強化する細かな工夫を凝らしていた。

 「4拍子」すべてでアピールを成功させた松田が、日本代表の元気印を襲名する。【押谷謙爾】