WBC球、何するものぞ-。侍ジャパン代表合宿初日の23日にブルペン入りした投手陣は、おのおのがボールを巧みに操った。意図するコースにどれだけ確実に投げられたか、制御率を測定。得意とする球種は高確率で収めてみせた。開幕戦となる3月7日キューバ戦に先発が濃厚なロッテ石川歩投手(28)は、5球投じたカーブを5球とも狙いどおりに格納。代名詞のシンカーと並び立つ武器にする。

 大きな軌道で力強く曲線を描いた。開幕キューバ戦の先発が内定している石川が“WBC仕様”のブルペンで武器を披露した。直球のみで迎えた19球目に「カーブいきます」。無駄のない投球フォームからパワーカーブを完璧に制御した。「打者と対戦して、実戦感覚と精度を上げていきたい。(現時点では)直球とカーブは大丈夫だと思います」。全34球のうち5球を投げたカーブに十分な手応えを示した。

 シーズン中はシュート気味に沈むシンカーが特徴的な投手として認知されている。だが、通常とは質感が異なるWBC球では「シンカーはもうちょっと」と決め球には至っていない。一方で侍ジャパンのスコアラー陣は「カーブがいい。ボールに適応している」と説明。緩急と落差を併せ持つカーブがノンステップ打法のキューバ打者との対戦で大きな武器になる。

 小久保監督は「石川は25日は投げません」と明言し、28日の台湾プロ野球選抜との試合で調整登板を経て、キューバ戦に臨むことが濃厚。世界一奪還への船出を託された右腕は「対外国人というのは気にしていない。自分のボールを投げるだけ。投げた試合は勝てるように頑張ります」と静かに言った。【為田聡史】