名門ジムが久しぶりに沸き返った。東洋太平洋スーパーミドル級で、同級3位松本晋太郎(31=ヨネクラ)が新王者に輝いた。松本は過去2度のタイトル戦で同級王者清田祐三に負けていた。12年3月のV5戦、13年12月の王座決定戦。いずれも松本が負傷でTKO負け。「負けたら辞めるつもりだった」という、清田と3度目の決戦だった。
今回も出血して2度ドクターチェックを受けたが、今回は2回に右ストレートで王者をぐらつかせた。その後も再三クリーンヒットで上回り、9回負傷判定でまさに三度目の正直となった。
悲願のベルトを手にした新王者の横で、名伯楽の笑みが絶えなかった。「よくやった、よくやった」と肩を抱いて喜んでいた。ヨネクラジムと言えば米倉健司会長。明大出身でメルボルン五輪にも出場し、国内最速7戦目など2度世界挑戦した人気ボクサーだった。
63年にジムを開き、5月には82歳になる現役会長としてジムを率いる。3年前からは世界挑戦経験もある嶋田雄大トレーナーが主にジム運営するが、現役バリバリの情熱は衰えていない。試合中はリングに上がるコーナーの階段で試合を見守り、インターバルではリングに上がって指示を送る。
HPには「日本一のチャンピオンメーカー」とある。世界5人、東洋太平洋8人、日本31人の王者を育てていた。ジムにとって松本はのべ45人目。東洋太平洋ライトヘビー級王者だったクレージー・キムが、08年7月に手放して以来のベルトだった。
実は現在1位ではない。もう一つの名門帝拳ジムが世界11、東洋太平洋17、日本38とのべ66人王者が誕生している。浜田が世界王座陥落後、王者はいたものの苦しい時代が続いた。07年のリナレスから西岡、粟生が世界王座獲得で勢いづき、「王者でないと1人前でない」とまでいう今の隆盛となった。この8年間で抜いて、差をつけてしまった。
ちなみに3位は協栄ジムで、世界は最多12、東洋太平洋5、日本20の38人となる。4位は角海老宝石の32人、5位ワタナベの25人と続く。
みどり会長夫人は体調を崩した時期もあったが、リングサイドで観戦していた。待望の王者にメガネの奥が潤んだようだったが「勝ったのはよかったけど、あんまり強くないわね。まだまだよ」と笑っていた。やっぱりチャンピオンメーカーらしく夫人も厳しい。米倉会長は「あと2人は世界王者を」と元気いっぱい。5月には82歳になる。【河合香】

