ロンドン五輪金メダルの村田は、デビューから3年で世界挑戦が迫りつつある。銅メダルだった清水も5回TKOでプロデビューした。30歳の遅れてきたルーキー。プロになった過去3人のメダリストは世界王者になれなかった。アマエリート2人の今後は…。

 日本人世界王者は6人いるが、山中、八重樫、井上、井岡もアマ経験者だ。現役の元世界王者も内山、三浦、田中、粟生ら経験者がそろう。最近の日本もアマで経験し、箔(はく)を付けてプロ入りという欧米スタイルになってきた。

 リオ大会で日本は最多41個とメダルラッシュも、ボクシングは男子2人が序盤で敗退した。今大会はついにプロ解禁が話題だった。出場したプロは3人で、タイのアムナットは前IBF世界フライ級王者で井岡を下している。5月に王座を陥落したばかりも、タイ連盟から1勝約300万円を約束されて予選出場。08年北京に続いて出場も、アマにはね返された。

 プロ解禁には一般的に反対意見が多い。友好的なのはWBAだけで、他団体は危険性があると、出場すれば王座剥奪などの罰則を設けた。日本連盟は国際連盟総会で賛成はしたが、国内で解禁の意思はない。

 アマはシニアのヘッドギアを廃止などプロ化を加速させてきた。ロンドン大会後にプロ大会も発足させていた。まだ階級数、ラウンド数、グローブなどが違う。アマはトーナメントで連戦でもある。実際にアムナットは減量の少ないライト級での出場だった。リオ大会後には5回戦制への考えも示し、さらに接近を強めようとする。

 IOCは五輪=世界最高の大会にとプロ解禁が進んだ。バスケットボールはNBA選手の参加で人気もエキシビションのよう。20年東京で野球が追加になって日本中が喜ぶが、MLBの出場予定はない。星野仙一氏は「プロはWBC、五輪はアマがいい」と言う。ゴルフは復活も世界のトップが続々辞退した。

 うまいのがサッカーで、23歳以下限定にオーバーエージ枠でバランスをとる。何よりサッカーはW杯が最高の大会と世界中に浸透している。ラグビーは15人制とは異質感も強い7人制が初の採用だった。

 ボクシングは直前解禁でなくても、出場者がそう増えたとは思えない。不利という見方もあり、報酬の違いから代償も大きい。なんでもかんでもプロには賛成しかねる。五輪代表を逃してプロ入りした井上は「競技が違う」と言い切る。どうも違和感がある。メダルとベルト。アマとプロがあっていい。【河合香】