WBC世界バンタム級王者井上拓真(30=大橋)がレジェンド撃破で初防衛に成功した。同級4位の元世界4階級制覇王者井岡一翔(37=志成)の挑戦を受け、2回と3回にダウンを奪い、118-108、119-107、120-106の大差判定勝ち。井岡が目指した日本男子初の世界5階級制覇を阻止した。

1回は井岡からプレッシャーを受けたが、2回終盤にはラッシュから先制ダウンを奪った。3回にも右アッパーでダウンを奪取した。

過去には井上と同学年の元世界4階級制覇王者田中恒成や同門の先輩となる元世界3階級制覇王者八重樫東ら縁のある日本人たちを次々と下したビッグネーム。井上は「日本人として井岡選手に初めて黒星をつける」との宣言通り、井岡に勝利した。これで今年9月、挑戦権を持つ同級2位那須川天心(27=帝拳)との2度目防衛戦に臨む流れとなった。

場内インタビューでは「張り詰めた12ラウンド。あっという間の時間でした。すごく楽しい戦いでした」と笑顔。「レジェンドの相手がいたからこその今日の自分。この試合まで張り詰めてできた。この自分を生み出してくれたのは井岡選手」と相手に感謝を示した。

今後に向けては「統一戦をやってみたいと思っている」と視線を向けた。さらに東京ドームに集まった観衆へは「自分はまだまだこんなもんじゃないと証明したい。井上尚弥の弟ではなく、井上拓真とアピールしたい」と熱く語った。

昨年11月、格闘技を通じてプロ無敗だった那須川に判定勝利した。WBC世界同級王座を獲得し、世界王座に返り咲いた。那須川戦に続く注目の日本人対決に向け、井上は「前回みたいなモチベーションの高さ。楽しみな1戦。ここまで経験値のある選手とやるのは初めて。最初は井岡選手との対戦は想像していなかった。運命的というか、前回に続き、持っているなと思う」と胸を躍らせて決戦のリングに立っていた。

24年10月、同学年の堤聖也(角海老宝石)に判定負けし、WBA世界同級王座から陥落。父真吾トレーナーからも世界戦に取り組む準備と姿勢を問われ、同時に手首靱帯(じんたい)損傷も判明。現役引退も頭をよぎる悔しい対日本人マッチ初黒星だった。しかし兄尚弥(33=大橋)からの助言もあり「ここで辞めたら絶対に後悔する」と再起。どん底を味わったからこそ、厳しいトレーニングを積めるようになった。兄尚弥との2年ぶりの同日出場。より同じ時間帯で練習し、減量も進めてきたことも、最終調整の大きな後押しとなった。

これで昨年11月以来となる那須川と再戦することが濃厚となった。4月11日の同級挑戦者決定戦となった那須川-フアンフランシスコ・エストラダ(メキシコ)戦をチェックしたという井上は井岡戦に集中していると前置きした上で「(那須川は)やっぱり良くなっている部分もありますけど、また戦えば、また自分が勝つ。そういう自信もある」と王者としてのオーラを漂わせた。「レジェンド超え」を成功させ、また一皮むけた井上が重要な一戦に臨む。

◆井上拓真(いのうえ・たくま)1995年(平7)12月26日、神奈川・座間市生まれ。父真吾氏と兄尚弥の影響で4歳からボクシングを始める。高校2冠後、13年12月にプロデビューし、福原辰弥に判定勝利。15年7月に東洋太平洋スーパーフライ級王座を獲得。18年12月にWBC世界バンタム級暫定王座奪取も、19年11月に正規王者ウバーリ(フランス)に敗れて王座陥落。21年1月に東洋太平洋バンタム級王座、22年6月にWBOアジア・パシフィック・スーパーバンタム級王座&日本同級王座を獲得。23年4月、WBA世界バンタム級王座を獲得し2度防衛。身長163センチの右ボクサーファイター。

王者井上拓真が元4階級王者井岡一翔と初防衛戦 WBC世界バンタム級/ライブ速報

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