2度も2横綱2大関を倒した平幕は嘉風が初めて。ただ、前回は反則含み。これで13人目の2金星2大関撃破となった。記録をひもとくと、横綱に上り詰めた人が4人いた。大関も2人。全員が関脇以上…と思いきや、1人だけ小結が。振分親方の高見盛だった。

 「角界のロボコップ」として人気者だったが、横綱には未勝利だった。「結びの一番は独特。横綱より先に入場したり、先に塩をまかないと、と緊張ばかり」。人気先行。そんな評価が03年名古屋で一変した。「この世界でまだまだやっていけると自信がついた」。

 さらに上を目指せただろう。だが、同年九州場所前の出稽古で横綱朝青龍につり落とされ、右肩を亜脱臼。致命傷となった。「でも、ケガも自分の責任。それでも倒してやろう、と思っていた。大ケガしても、2つの金星と2大関を倒したことが希望になった」。嘉風にも今後、大きな希望となるに違いない。【今村健人】