女子プロゴルファー不動裕理(40)が9日目の22日、また両国国技館にやって来た。「私、けっこうひいきが激しいんです。(同郷の)熊本出身と聞くと『応援しなきゃ』と思っちゃいます」。升席に座り、土俵を見つめる。その姿はツアー通算50勝の永久シード選手ではなく、一ファンにしか見えない。

 最初は08年初場所。知人の紹介がきっかけだったが、すぐにハマッた。「まわしをつけただけのぶつかり合い。真剣勝負です」。相撲が持つ様式美も、素朴な性格に響いた。以来約10年間、1、5、9月の東京場所9日目の月曜日は決まって国技館に足を運んでいる。

 角界が一連の不祥事に揺れた10~11年も、相撲愛は変わらなかった。「こんな時こそ応援しないでどうするんですか?」。空席が目立つ名古屋場所に、1人でチケットを買って見に行った。トーナメントでは、日本相撲協会が販売する「ひよの山」「赤鷲」のヘッドカバーをドライバー、フェアウエーウッドにつけて、プレーした。

 連日の満員御礼。この日も升席に座り、焼き鳥をパクついて、観戦を楽しんだ。「スー女」が増え、活況に沸く大相撲が今あるのは、不動のようなファンがいてこそだ。【加藤裕一】