「中京の怪物」ことボクシング前WBO世界ミニマム級王者の田中恒成(21=畑中)が10月31日、名古屋市内で記者会見を行い、12月31日にメキシコのモイセス・フエンテス(31)とWBO世界ライトフライ級王座決定戦(岐阜メモリアルセンターで愛ドーム)を戦うと発表した。

 同級2位で7戦7勝(4KO)無敗の田中が、同級1位で27戦24勝(13KO)2敗1分けのフエンテスを倒せば、井上尚弥(23=大橋)と並び国内最速となる8戦目での2階級制覇を達成。だが、田中自身は「何戦目とか記録で評価されるんじゃなくて、実力で評価されたい。弱ければ弱いでいい。自分の陣営の中では接戦という言葉が出ているけれど、判定じゃなく、KOで勝ちたい」と頼もしく言い切った。

 フエンテスは元WBO世界ミニマム級王者、同ライトフライ級暫定王者と実績は抜群。事実、田中も「今までの相手と比べると一段(実力が)上がる」と分析する。その上で相手の得意な左ボディーを警戒しながらも「攻撃的な選手に対して、防御も大切ですが、攻撃で対抗していこうかなと思います」と動じない姿勢を見せた。

 5月に痛めた右拳の影響もあり、大みそかにずれ込んだビッグマッチ。田中が「大みそかは…」と苦笑いするように、すでに発表済みの内山高志、田口良一の世界戦など今年の大みそかも“世界戦ラッシュ”となる見込みだ。「他の選手と重なる。俺が一番だったらいいんですが…」。そのもどかしさをくみ取る所属の畑中清詞会長(49)は「非常にうちはやりたい。認知度、人気だね」と2階級制覇達成後の日本人対決実現を熱望した。

 実力を全国、世界にアピールする絶好の舞台は2カ月後。15年5月に日本最速の5戦目で世界王者となった男が、ここでつまずくわけにはいかない。