沖縄の星が25年ぶりの世界王者を狙う。5月20日に東京・有明コロシアムでのトリプル世界戦で、WBC世界フライ級1位比嘉大吾(21=白井・具志堅スポーツ)が初挑戦する。同級王者フアン・エルナンデス(30=メキシコ)に挑む。12戦すべてKOの強打で、目標の具志堅用高会長と同じ21歳で沖縄出身7人目の奪取、ジムから男子4人目の挑戦で悲願を期す。

 比嘉は待ちに待った世界戦発表にガチガチだった。インタビューに言葉が詰まり、顔を真っ赤にした。21歳の初々しさも、リングに上がれば人が変わる。「初回から自分のボクシングで盛り上がる試合をしたい。打ち合いに持っていき、打ち勝つ」。この時はしっかりした口調で答えた。

 具志堅会長に憧れてボクシングを始め、入門の誘いにも迷いはなかった。ジムからはこの師弟と同じ沖縄出身の3人が世界挑戦もはね返された。悲願へ会長の期待も大きい。開口一番「今の調子は50%」と笑わせたが「試合では150%で勝つと信じている」。

 12戦全勝すべてKOと、過去3人と違うファイター。会長は「一番可能性がある。破壊力が違う。顔は違うが性格は近く、ここぞのチャンスに強い沖縄魂がある」。92年の平仲以来、沖縄から世界王者は誕生していない。7人目の王座奪取で王国復活の先陣を切りたい。

 19歳でWBCユース王座を獲得し、ホープとして名を上げた。その時から会長と同じ21歳で世界王者を公言してきた。あとは「絶対にベルトをとる」。結果を出すだけ。今日4日からは千葉・土気で走り込みキャンプに突入する。【河合香】

 ◆比嘉大吾(ひが・だいご)1995年(平7)8月9日、沖縄県浦添市生まれ。中3時に具志堅会長のビデオを見て、宮古工でボクシングを始めた。アマ戦績は36勝(8KO)8敗。14年8月にプロデビュー。15年の7戦目でWBCフライ級ユース王座(防衛2回)、昨年の10戦目に東洋太平洋同級王座獲得(防衛1回)。160センチの右ファイター。