【ラスベガス(米ネバダ州)25日(日本時間26日)=山田大介】米国総合格闘技UFCへの参戦を表明した北京五輪柔道100キロ超級金メダリスト石井慧(22=国士舘大4年)が、同団体から異例のVIP待遇を受けた。UFC92大会(27日、MGMグランドガーデンアリーナ)観戦のために現地入り。超一流ホテルでの宿泊に加え、同団体のダナ・ホワイト代表(39)や前ヘビー級王者ランディ・クートゥア(45)と会うことも決定。熱烈な歓迎ぶりに、石井も正月返上で猛練習に励むことを誓った。

 UFCからのVIP待遇に、石井は言葉を失った。案内されたのはラスベガスでも有名な一流ホテルのセミスイートルーム。広さは約80平方メートル、寝室にはキングサイズのベッドが置かれ、リビングには米大統領が執務室で使うような机も。風呂の床は大理石でトイレも2つという豪華さに、石井は「ヤバかったっス。ケータイで写真、撮りまくりました」。

 大相撲ラスベガス巡業でも使用された同ホテルは、1泊10万円前後。柔道家時代の海外遠征では、飛行機はエコノミークラス、部屋も2人1部屋が多かった。「柔道の時よりも期待されていると思いました」。まだ契約すらしていない自分への「VIP待遇」に、UFCの大きさを感じた。

 さらに、26日(日本時間27日)には、同団体のホワイト代表、石井があこがれる前ヘビー級王者クートゥアと直接会えることになった。石井は「ダナ(代表)とは、話次第で『契約チック』なことになるかもしれない」。またクートゥアに対しても「一緒に練習?

 できるなら、やってもらいたいですね」と希望に胸を膨らませた。

 そんなUFCの期待に、石井も応える。熱心な仏教信者でもある石井は、当初は大みそかから来年1月5日まで「山ごもり初詣で」を予定していた。これを変更。「神仏をないがしろにする気持ちはないけど、今の自分は神頼みをしている場合じゃない。初詣では1泊2日にします」。元日に帰京し、翌2日から猛練習を開始する構えだ。

 また、練習拠点を日本ではなく海外に置き、米国やロシアを候補地とするプランも明かした。3カ月に1度帰国ペースの「プチ単身赴任」(石井)という。石井とUFCとの距離は確実に近づいてきている。