プロボクシング元東洋太平洋フライ級王者の小松則幸選手(29=グリーンツダ)が13日、急死した。同日午後6時25分ごろ、滋賀県大津市葛川坊村町の比良山系三ノ滝の底に沈んでいるのを、同行していたジム関係者の連絡を受けて捜査していた消防隊員が見つけた。大津北署によると、引き上げられたが死亡が確認された。小松選手は誤って滝つぼに落ちたとみられ、同署が詳しい事故の原因を調べている。小松選手は来月13日に後楽園ホールで亀田大毅(20=亀田)との試合が予定されていた。

 グリーンツダジムの関係者によると、小松選手は来月13日に予定された亀田大毅とのノンタイトル10回戦に向け、11日から精神修行で、京都市内の寺を訪れていたという。泊まり込みで座禅修行などに取り組んだ。この日は、その最終日で「気合を入れてもらおう」と不動明王がいるとされる滝に行くことを計画。滝を探して、滋賀まで出向いた。

 マネジャーと寺の関係者も同行。目的地近くにたどり着いたが、周辺の状況から滝まで行くのは危険と判断した。しかし、小松選手は「滝を見に行きたい」と希望し、ひとりで向かったという。だが、姿が消えたまま一向に戻ってこず、午後4時15分ごろ、マネジャーが「滝付近で姿が見えなくなった」と地元の住民を通じて警察に通報。捜査した消防隊員が滝の底に沈んでいる小松選手を発見し、引き上げたがすでに心肺停止しており、死亡が確認された。滝のそばに小松さんの上着が残されており、大津北署は誤って滝つぼに落ちたとみて、詳しい状況を調べている。

 小松選手はエディタウンゼントジムでデビューし、東洋太平洋タイトルを2度獲得し、世界挑戦経験もある実力派のボクサーだった。2度目の東洋太平洋王者となった06年6月に、当時日本王者だった内藤大助(現WBC世界王者)と対戦し、6回TKOで敗れた。同年12月にグリーンツダジムへ移籍し、心機一転を図った。だが、今年2月のノンタイトル戦で1回TKO負けを喫するなど、最近は白星に恵まれていなかった。

 それだけに亀田大毅戦にかけた気合は相当で、関係者にも「絶対に勝ちます」と意気込みを語っていたという。突然のことにジムの関係者も衝撃を隠せず「あまりのショックで言葉にならない」と話していた。