総合格闘家の宇野薫(34=フリー)が、約6年ぶりに米国総合格闘技団体UFCのリングに復帰する。13日(日本時間14日)にドイツ・ケルンで行われる「UFC99」のライト級(65・7~70・3キロ)ワンマッチで、米国のスペンサー・フィッシャー(33)と対戦。継続参戦していた国内のHERO’SやDREAMから今、なぜ、世界の猛者が集うUFCへ戻ろうとするのか。決意を聞いた。

 約1年間実戦から遠ざかっていた宇野が、復帰の舞台に選んだのは古巣のUFCだった。対戦相手のフランカの強烈なパンチをあごに食らい、2回KO負けを喫したのが約6年前。苦い記憶は、忘れてはいない。

 宇野

 最後の試合は格闘技人生で最もふがいない試合だった。あの負けでUFCから契約更新の話も来なくなったんです。僕の中ではずっと引っかかっていた。UFCには忘れ物がある。だから、ずっと「出たい」と思い続けていました。

 01年2月からUFCに参戦。01年と03年にはバンタム級、ライト級の王座決定戦に出場するなど、日本人中量級の先駆者として活躍した。03年9月を最後に主戦場を国内へ。HERO’SやDREAMに主力として参戦し、16試合をこなした。それでも、「総合格闘技のメジャーリーグ」(宇野)というUFCへの思いは募る一方だった。

 今年1月、仕事の関係で渡米した宇野はラスベガスでの「UFC94」を観戦した。オクタゴン(八角形の金網リング)での戦いを見ると、居ても立ってもいられなくなった。「直接アピールすれば気持ちが伝わるんじゃないか」。UFC復帰への意思をダナ・ホワイト代表に直接伝えた。直談判が実ってUFC参戦がまとまると、4月には約12年間在籍した総合格闘技ジムの和術慧舟會を辞めた。

 宇野

 これまでより厳しい戦いが待っていると思うんです。そこに挑戦するにはもう1つ変えないとっていう時期だった。これからは1人で考えないとって。

 DREAMで活躍する青木らの元に出げいこに出向き、もう1度ゼロから自分自身を磨き直し、今回の復帰に懸けてきた。

 宇野

 もしかしたら厳しい現実が待っているかもしれない。正直言って恐怖心も、なくはない。でも、そんな緊張感の中でもいい結果を出せる、という自信はあります。いよいよ来たなって感じです。

 今大会用につくったTシャツの背中には漢字で「光」と入れた。前面には「もっと光を

 新しい光を」という意味のドイツ語を入れた。「THE

 COMEBACK」(復活)と銘打たれた大会で、宇野は再び、光り輝こうとしている。(取材・構成=浜本卓也)