WBC世界バンタム級王者の長谷川穂積(29=真正)が、26年ぶりの事実上の“統一戦”をクリアし、日本歴代世界王者の頂点に立つ。3階級を制覇したWBO(日本未公認)同級王者モンティエル(メキシコ)との11度目の防衛戦(30日、東京・日本武道館)に向けて26日、都内の帝拳ジムで練習を公開。「今まで以上に最高」と揺るぎない自信を見せた。勝てば世界王座在位期間で国内最長記録更新が確実。前売り券はほぼ完売し、世界3カ国で生中継される。

 長谷川は弾むような、軽快なリズムを刻んだ。恒例の山下正人会長との2回の公開スパーリング。大一番にかける意気込みが、自然と体を突き動かした。ラスト10秒の合図を号砲に一気にロープ際に詰め、1秒間に10発放てるという自慢の超高速連打を披露。山下会長が思わず両ひざを着くと同時に、最高のデモンストレーションを終えた。

 報道陣は公開練習では史上最大規模となる約80人が集結。一挙手一投足が注視される中、日本の絶対的エースは語った。

 長谷川

 今まで以上に最高のコンディション。減量中に、これだけ動けることは今までなかった。体重はあと1キロくらい。モンティエルは頭がよくて、攻撃、防御ともうまいが、自信はある。今回も意識しないで、KOできたらいい。

 世界3階級制覇王者との事実上の2団体“統一戦”は日本史上最強の称号もかかる。現在、長谷川は王座在位期間5年0カ月で国内2位。ジム関係者は「勝てば次戦は5~6カ月空ける」と話し、今回勝てば、勇利アルバチャコフの5年4カ月を抜くことは確実。またKO勝ちなら具志堅用高氏の最多6連続KO防衛に並ぶ。連続防衛記録は具志堅氏の13度に次ぐ2位で「1番じゃなきゃ意味がない」と常々語る長谷川にとって大きな勲章となる。

 25日に家族と離れ、最終の新幹線で決戦の地東京に乗り込んだ。カバンに忍ばせたのは、けん玉。「最近、始めた。集中力を養えるんですよ」という秘密兵器も、勝利にひと役買うはずだ。

 強い相手と戦いたい。ずっとそんな気持ちを抱いていた。減量苦から転級も選択肢にあったが、11度目の防衛戦で、最高の相手と巡り合えた。「モンティエルの強さが、さらにオレの強さを引き出してくれると思う」。勝つと負けるで大違い。まさにオール・オア・ナッシングの戦いは、長谷川の未知の実力を引き出す戦いになる。【大池和幸】