<プロボクシング:56・2キロ契約10回戦>◇26日◇兵庫・神戸市立中央体育館

 元世界2階級王者の長谷川穂積(32=真正)が、鮮やかなKOでノンタイトル戦3連勝を飾った。タイのフェザー級5位ウィラポン・ソーチャンドラシット(24=タイ)を3回2分51秒で下した。左の強烈な連打で、力を見せつけた。次の標的はWBC、WBO世界スーパーバンタム級王座で、早ければ今夏にも悲願の3階級制覇を目指す。

 相手の動きが鈍った隙を見逃さない。3回だ。長谷川が一気に仕掛けた。左フックの連打で2度ダウンを奪うと、最後は左ストレートで仕留めた。「何もないです。この試合に出るために練習したこと、この試合ができたことがプラスになっただけ」。格下を鮮やかに倒したKO劇も、さらりと振り返った。

 テーマは「打たせずに打つ」だった。今回に備えて接近戦やコンビネーション、カウンター練習を重点的にこなしてきた。だが、消極的で変則的な右パンチだけが頼りの相手に、練習内容を試す機会はほとんどなし。「まあこんなもん。相手も相手ですし」。世界のベルトだけを狙っているだけに、試合後の喜びも大きくはなかった。

 山下会長は今日27日にWBC本部があるメキシコシティーに飛ぶ。現地のイベントでWBC幹部と対面して、長谷川の健在ぶりをアピール。早ければ今夏の世界戦実現に向けて「直談判」する予定だ。同会長は「長谷川も僕もベルトに飢えている。いい状態で試合ができるように、チャンスがあれば早く実現させたい」と口にした。

 標的はWBOとWBCのスーパーバンタム級王座。現在長谷川はWBO2位で、WBCは5位だが「これで2位くらいに上がると思う」と見込む。WBOには00、04年と五輪連覇した強豪リゴンドウ、WBCはテラサスが王者に君臨しているが「強い方がやりがいがある」と敵地にも乗り込む覚悟。ボクサー人生の集大成となる3階級制覇を目指し、もう1度世界に挑む。【木村有三】