大関照ノ富士(23=伊勢ケ浜)が辛くも白星スタートを切った。モンゴルの2学年後輩で東前頭筆頭逸ノ城(22=湊)との立ち合いで一気に押し込まれるなど、序盤は防戦一方。「焦ったよ。(逸ノ城が)圧力を結構かけてた」と振り返った。それでも、まわしを切るうまさから逆転し、最後はつりながら寄り切り。「やっぱり、踏み込めないですね」と、秋場所で負傷した右膝を不安視した。

 その右膝には、先月30日に帰京して受け取った特注の装具がついていなかった。取組前の支度部屋では装着していたが「途中でやってて、やりづらくなって。逆に動きづらくなった。時間もなかったから」と、大胆にも外したまま土俵へ上がった。幕内最重量208キロを退けるまでに51秒5掛かり、負担は大きいはず。「不安はなかったか」と問われると「ありました。一瞬(膝が内側に)入りそうになったし」と話し、「勝ったっていうより、動けないな。稽古ができなかったなあ」と、場所前の稽古不足をぼやいた。

 秋場所は千秋楽で横綱鶴竜(30ー井筒)を破り、優勝決定戦の末12勝3敗で同点。今場所は全勝など成績次第では横綱昇進の可能性も残されているだけに、患部の状態が気になるところだ。