白鵬が、グッと唇をかんだ。風呂上がりの支度部屋。敗因を問われると「まあ、空振りというか、ちょっと立ち合いが合わなかった気がします」と悔しさをこらえながら口にした。

 完敗だった。琴奨菊に一方的に押し込まれた。鋭い出足を止められず「今までで一番良かったんじゃないの」と脱帽。いつもなら残せる勝負どころでも粘れない。「全然残せると思ったんだけど。気づいたら土俵際だった」。押し出された土俵下で、両手をついてうつむいた。

 警戒はしていた。朝稽古後、琴奨菊について「去年の秋、11月と良くなっていた気がする。足の運びがね。足の運びは、精神的なものが大きい。落ち着いてきた」。場所後に結婚式を控える相手の心の成長を認め、気を引き締めていた。痛い1敗だが、まだ残り4日間ある。最強横綱の意地を見せる時間は残っている。