昨年初場所限りで引退した大相撲の元小結豊真将の立田川親方(34=錣山)が30日、東京・両国国技館で断髪式を行った。

 現役横綱の白鵬(30=宮城野)、貴乃花親方(43=元横綱)、陸奥親方(56=元大関霧島)、師匠の実兄の井筒親方(54=元関脇逆鉾)、元関脇琴ケ梅の北山聡氏ら角界関係者のほか、元プロ野球投手の高橋尚成氏、歌手の尾形大作、タレントの松村邦洋、落語家の桂文福、桂米助、プロボクサーで元世界王者の名城信男氏、細川貴之氏ら約300人がはさみを入れ、最後に師匠の錣山親方(52=元関脇寺尾)が、大銀杏(おおいちょう)に止めばさみを入れた。

 断髪式は、立田川親方も「いろんな人に聞いてみたけど、このやり方は『聞いたことがない』と言われる」という、おそらく角界初であろう“回転式”で行われた。

 通常の断髪式は、マゲを切られる本人が正面を向いて座ったまま実施される。だが今回は同親方の意向もあり、全席の観客に見やすくするため、正面→東→向正面→西→正面と向きを変えながら断髪式が進行した。「これまでのやり方だと、向正面は頭しか見えない。それなら、自分が回ったらどうかと思いました。面白い試みだと思うし、来場する皆さんに満足していただきたい」と、この日を楽しみにしていた。

 断髪式後、立田川親方は“回転式”断髪式に「向く方向、向く方向でお客さんが喜んでくれた。これは絶対いい。やって良かった。これから断髪式をやる人にも、お勧めです」と喜んだ。マゲに別れを告げたが、感慨に浸る涙はなく「これで心新たにスッキリした気分。幸せで充実した相撲人生でした」とサバサバした様子で話した。