関脇嘉風(33=尾車)が初白星を挙げた。

 小結栃煌山(29=春日野)との3連敗同士の対決で2度、引きかけた。だが「昨日の朝、師匠(元大関琴風の尾車親方)から『引く悪い癖が出ると、お前の良さが出ないぞ』と言われたんです」。その言葉に体が自然と反応したのか、踏みとどまると反転、攻勢に。嘉風らしい相撲で寄り切った。

 「感覚は悪くないけど、こわごわと相撲を取っていた。欲が出てきたんじゃないかな。やっぱり、守りに入ってはダメ。勝ち負けは気にしちゃいけないけど、負けを恐れてはダメ。力を出し切ることで、ここまで上がってきたんだから」

 自分の心の“原点”を思い出して、ようやく春場所のスタートを切った。「同じ気持ちで相撲を取るのは、難しいと感じますね」としみじみ振り返り、そして「連敗すると、自分の存在を忘れられちゃうからなぁ」と一言。姿を消す前に? 踏みとどまれた。