大相撲秋場所(9月11日初日、東京・両国国技館)で再び綱とりに挑む大関稀勢の里の「条件」が定まった。横綱審議委員会が25日に国技館で開かれ、守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)は「優勝してほしい」と審判部同様に星数に関係なく「優勝」だけを求めた。

 夏場所後には「14勝以上の優勝」と内容も求めたが、春場所から13勝、13勝、12勝の3場所連続で“準優勝”という高い安定感に、評価も変わった。委員の中には「優勝しなくてもいいのではないか」という意見もあるという。

 守屋委員長も横審内規にある「(優勝に)準ずる好成績」の理解を「世論を踏まえて」と、昇進ムードの高まりを考慮するという。ただ、優勝なしで昇進させた場合の「その後」を危惧し「優勝なしで推薦して短命横綱になってしまうと、稀勢の里自身に不幸なこと。ふさわしい力士と認められたら推薦したい」。作曲家の都倉俊一委員も「優勝すれば資格はあると思うが、優勝しないで上げるのは賛成しかねる」と話した。

 いずれにせよ、横審が“軟化”するほどの安定感が稀勢の里にはついてきた。あとは優勝。それだけにしぼられた。【今村健人】