綱とりの大関稀勢の里(30=田子ノ浦)は、栃ノ心に敗れて2敗目を喫した。

 館内に2度、悲鳴が響いた。1度目は栃ノ心の左変化に稀勢の里の体が泳いだとき。単独首位に立った翌日に変化を食らった先場所の悪夢が再びよぎったが、ここは踏ん張った。

 左からおっつけ、右手で頭を押さえつけて反撃するも、腰が高い。右脚を渡し込まれて上体も起きた。後ずさりし、土俵を割った。2度目はすぐに大きなため息へと変わった。3日目で痛い2敗目。「落ち着いていけば良かったですけど…」と唇をかんだ。

 昇進を預かる審判部の副部長、友綱審判長(元関脇魁輝)は「話題がなくなりましたね」と苦笑い。「隠岐の海のおかげで確率は10%くらい残っているかな。内容が悪すぎる。考えを整理できていない感じ。立ち合いも相手に合わせている」と厳しい言葉が並んだ。

 先場所に続いて平幕に2敗。ただ、日馬富士らが相次いで敗れ、三役以上の全勝は豪栄道ただ1人。優勝=綱とりへの望みは、辛うじてつながっている。過去に初日と3日目に黒星を喫しながら優勝した力士も、74年九州の魁傑と12年夏の旭天鵬の2人いる。稀勢の里は先場所までとの違いを聞かれて「どうでしょうかね」と首をひねった。今はその迷いを振り切らねばならない。【今村健人】