日本相撲協会は26日、大相撲初場所(来年1月8日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。西前頭3枚目だった九州場所で11勝を挙げ、敢闘賞を受賞した正代(25=時津風)が新関脇に昇進した。初土俵から所要17場所は、史上2位タイのスピード出世。4月の熊本地震で被災した宇土市出身で、地元を盛り上げる新年の飛躍を誓った。

 新入幕になった今年初場所から1年で新三役昇進。正代は「とりあえず三役に上がれたことがうれしい」と笑顔で話した。スピード昇進を果たした歴代の力士らもその後、大関、横綱へと昇進している。部屋では08年秋場所の豊ノ島以来の関脇に、師匠の時津風親方(元前頭時津海)も「自分の相撲を取り切れば勝ち越せる」と期待は大きい。

 地元の熊本・宇土市でも郷土力士の活躍に盛り上がりを見せる。有志で結成された支援会が秋場所から正代が勝った日の夜、市内の西岡台公園で花火を打ち上げている。1勝で25発、予算は1万円。企画した支援会の金田光生会長(64)は「地元は盛大に応援してますよ」と熱い。

 同公園は宇土城跡にあるため、標高が高く、花火が上がると宇土市中から、音と視覚で確認できる。花火で正代が勝ったことが分かり、楽しみにしている市民は多い。金田さんは「勝てば寄付金も増える。いつかは1勝で50発」と倍増も計画している。

 早くも大関候補の呼び声も高い。正代は「1場所で終わらないように粘りたい。さらに上を」と意気込む。地元に明るい話題を与えたい思いも強い。「地震があった年に上がれた。元気になってくれるんじゃないかな」と気遣った。季節外れの花火で、さらに故郷を元気づけるつもりだ。【佐々木隆史】