13年夏に上演中止となった舞台「誓い~奇跡のシンガー」の主演予定だった歌手土屋アンナ(31)に約3000万円の損害賠償を求めた裁判の口頭弁論が27日、東京地裁で行われ、原告のプロデューサー甲斐智陽氏(63)が、土屋側に名誉毀損(きそん)で訴えられていたことが分かった。この日、甲斐氏の訴訟と併合して名誉毀損の第1回弁論が行われ、明らかになった。

 甲斐氏によると、昨年初めに「ANNA」という曲を作り、これが「ANNAはどうしようもない女」「すっぴんはしわだらけ」などと歌う内容だった。これを知人が「実在の人物と無関係」という注釈を入れた形で昨年夏にYouTubeに投稿した。動画は2日後に削除した。ところが昨年12月、土屋側が甲斐氏に対して200万円を払うという和解案が提示された前後に、土屋側が名誉毀損で約1000万円の損害賠償を求めて提訴したという。

 甲斐氏はこの日「中傷ではなくシャレで作った。レコーディング後、8月に僕の誕生日ライブで歌った。『しわだらけ』って、アンナさん本人はきれいだから違うでしょ。本人と特定していないのに名誉毀損はおかしい」と反論した。

 次回の7月13日に土屋への証人申請の採否が決まる予定。次々回弁論で裁判が始まって以来、初めて土屋が出廷する可能性も出てきた。

 ▼これまでの経過 13年7月に土屋主演の舞台「誓い」が上演中止に。製作側が土屋の稽古無断欠席が理由と説明し、土屋側は事実無根と反論。同8月に甲斐氏が、土屋と所属事務所に対し約3000万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴。14年3月に裁判長が和解勧告し、非公開協議の末、同12月に土屋側が200万円を払う和解案を提示。土屋側は受け入れ姿勢を見せたが、甲斐氏側が拒否した。