俳優玉山鉄二(35)が3月末に放送終了したNHK「マッサン」以降、初めて連続ドラマに主演することが21日、分かった。WOWOW「連続ドラマW 誤断」(11月22日スタート、日曜午後10時)で、不祥事の隠蔽(いんぺい)を指示された大手製薬会社社員を演じる。朝ドラとは一転、社会派ヒューマンサスペンスに挑む。

 ウイスキー造りに情熱を傾けたマッサンとはガラリとイメージを変える。原作は作家堂場瞬一氏の同名小説。舞台は薬害事件を抱える大手製薬会社。玉山は不祥事の隠蔽を指示され、良心と社命のはざまで思い悩む若手社員を演じる。玉山は本紙の取材に、「それぞれ感じる正義や幸せ、価値観を見つけていただければ。民放で描きにくい部分も、WOWOWでは描ける部分もある。そういう部分では攻めていきたい」と話した。

 脚本を「マッサン」と同じ羽原大介氏が手掛けることが、出演の大きな決め手だった。「『また何かやろう』とお話ししたばかりでした。羽原さんが書く社会派もの、企業ものを、自分が見てみたいという思いが強かったのもあります」。

 「マッサン」収録は約10カ月の長丁場。終了後は「燃え尽きてはいないんだけど、あまり何もやる気が起きなかったのは正直ありました」という。ここ半年は、ドラマ出演やCM撮影などもあったが、家族旅行や友人と飲みに行くなど比較的自由な時間に恵まれた。「次に仕事をするにあたってのモチベーションになるような有意義な半年を過ごさせていただきました」。

 「マッサン」と向き合って、俳優として得たものは大きかった。「視聴者から求められたことに確実に応えること。忍耐力や責任感ですね。プレッシャーに対してちゃんと作品を1つ作ることができた自信は大きい」。自信は得たが、そこで止まっているわけにはいかない。「1回全部リセットというか、羽織っていたものを脱ぎ捨てないといけないんだろうなと思っています」。「誤断」は朝ドラ以来の主演作。注目度は高い。「プレッシャーはないです。新しい顔があるんだと印象付けていけたら」。

 収録2日目に共演の小林薫(64)と初対面した。緊張で汗が止まらなかった。「毎回、身を粉にしてやっているつもりです。もっと経験を積み、いろいろな人に出会い、勉強しなければと思っています」。国民的ドラマの余韻に浸ることなく、さらなる意欲を燃やしている。【近藤由美子】

 ◆「誤断」 大手製薬会社広報部の槙田(玉山鉄二)は安城副社長(小林薫)の特命で、自殺事件に自社薬品が関係してないか、警察に探りを入れ、死体の検視結果に自社薬品の成分が記載されていたことが判明。安城は槙田に被害者遺族との示談と薬害の隠蔽(いんぺい)を指示する。社の命運を背負い困惑する槙田は、安城が排除をもくろむ顧問弁護士の高藤(柳葉敏郎)に助けを求めようとする。蓮仏美沙子、泉谷しげる、中村敦夫らが共演。全6話で第1話は無料放送。