昨年3月に亡くなった桂米朝さん(享年89)の新春恒例一門会が2日、大阪・サンケイホールブリーゼで行われ、孫弟子の桂南光(64)は、米朝さんファンだった歌手さだまさしが米朝事務所入りするという「夢を見た」とジョークを飛ばし、会場をわかせた。

 さだは昨年秋、京都南座で行われた追悼興行にもゲスト出演しており、米朝さんとゆかりは深い。南光は「今の時代、米朝事務所も落語だけではやっていけないということで、この春から米朝エンタープライズとして、はなし家以外の方にも広く入っていただき、活躍してもらおうと」と前置きを始め、さだが昨秋の追悼興行に出演したことを紹介して続けた。

 「この秋から、さださんの関西方面の仕事は米朝事務所がやる、ということになり…」。ここで、あいさつを一拍置き、異色タレント加入に場内がどよめくのを見越して、南光は「という夢を見ました」。南光は米朝さんの直弟子でこそないものの、米朝事務所では桂ざこば(68)の専務職に次ぐ、常務の地位にあるだけに、客席は驚き、ジョークと知るや否や、ざわめきが爆笑に変わった。

 新春恒例の米朝一門会は、米朝さんが72年にスタート。以来、米朝さんは高座引退後も、13年までは顔見せで出演してきた。ここ2年、舞台に姿は見せていなかったが、今年は一門の総帥が亡くなって初の新春一門会。米朝事務所によると「おかげさまでチケットもこれまで通りに完売しまして、あらためて米朝という存在の大きさを実感している」といい、客席は満席だった。

 米朝事務所の今井浩社長は「喪中でもあり、喪に服すという考えもありますが、米朝が続けてきた一門会なので、賑々しくやりたい」とし、新春一門会継続を決めたという。

 米朝さんに代わって、一門を引っ張る立場になったざこばは「去年はご承知のように、うちの師匠が亡くなりまして。師匠がおらんようになったんですけど、何となくうまいこと、いっております」とあいさつ。総帥を失ったことで、かえって一門の結束が強まったと話していた。