放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は16日、フジテレビのバラエティー番組で人権を侵害されたと訴えた自転車死亡事故の被害者遺族の申し立てに対し「名誉毀損(きそん)は認められないが、放送倫理上の問題がある」との見解を公表した。

 番組は昨年2月17日放送の「カスペ!『あなたの知るかもしれない世界6』」。母親が自転車にはねられ死亡した男性のインタビューを、自転車事故の「当たり屋」をテーマにしたドラマと共に放送。男性は「自分も当たり屋との誤解を与えかねず、自転車事故をちゃかす番組に加担する形になった」と訴えていた。

 委員会は「フジテレビは男性が自転車事故の深刻さを訴えてきた立場にあることを認識しながら、立場や心情に配慮しなかった」と指摘。ドラマ部分が当たり屋の事件を扱ったものであることを男性に説明しておらず「放送倫理上の問題がある」と判断した。

 フジテレビは「真摯(しんし)に受け止め、今後の番組制作に生かしてまいります」とコメントした。