強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕された俳優高畑裕太容疑者(22)の母で女優の高畑淳子(61)が26日、都内のホテルで記者会見を開いた。会見は63分にも及び、涙ながらに被害者と仕事で迷惑をかけた関係者に謝罪した。「私の育て方がいけなかった」と頭を下げ、裕太容疑者の生活態度などにおいて、不安に感じていたことも明かした。事件については、「彼の甘さ」と言い切った。

 高畑は深く一礼し、報道陣約300人、テレビカメラ27台が待ち構える会場に姿を見せた。マイクスタンドの前に立った高畑は黒いストライプの洋服で、憔悴(しょうすい)し切った様子。涙ながらに「大変なことをしてしまいました。本当に申し訳ございません。心よりおわび申し上げます」と謝罪。さらに、深々と頭を下げた。

 高畑は、裕太容疑者に対し「不祥事を起こしたら私から仕事がなくなる。私から仕事を取らないで」と、言ったことがあるという。それは、裕太容疑者の思春期の生活態度や性格に不安があったからだ。「規律を守れないということがありました。中学時代の遅刻とか、帰宅時間とか、学校での授業態度とか」を挙げた。また、芸能界に入った後も、「見たこともないようなきれいな方を見て浮かれていた」と、不安要素があったことを明かしたが、「ここまで、愚かとは思いませんでした」と話した。

 高畑は25日に、群馬県警前橋署で裕太容疑者の事務所社長、姉のこと美(29)の3人で15分間、裕太容疑者に面会した。その際の様子について、「『申し訳ないね。申し訳ないね』と、泣いていました」とし、事件を起こしたことについて「死のうと思った」と、話していたことを明かした。

 この日の会見は当初30分の予定だったが、高畑本人が「すべての質問にお答えします」と延長を申し出た。記者が座り、会見者がスタンドマイク1本で答えるというパターンは珍しい。立ったまま63分間、報道陣からのすべての質問に答えた。

 裕太容疑者は23日未明、前橋市内のビジネスホテルの客室内で、埼玉県在住の40代の女性従業員の手足を押さえ付けるなどして性的暴行を加えた上、右手の親指、手首の関節に打撲を負わせた疑い。容疑を認め、「女性を見て欲求を抑え切れなかった」と供述している。