都内の自宅浴室で急死した平幹二朗さん(享年82)の長男で俳優の平岳大(たけひろ=42)が24日、所属事務所を通じて文書でコメントを発表した。前日23日に浴槽で倒れていた父を発見しており「穏やかに眠っている父を見つけました」とつづっている。通夜は27日午後6時から、葬儀・告別式は28日午前11時から東京・青山葬儀所で営まれ、岳大が喪主を務める。

 平さんの急死から一夜明けた24日午前7時50分ごろ、岳大は妻とみられる女性と平さんの自宅マンションに入り、3時間後に出てきた。取材陣の問いかけに「すいません」と答え、迎えの車に乗り込んだ。数時間後、所属事務所の公式サイトでコメントを発表した。

 平さんは約5年前から1人暮らし。炊事や洗濯も行い、劇場や稽古場との往復も電車を利用した。今月9日に主演舞台「クレシダ」大阪公演を終え、帰京後は来年3月に主演予定の舞台「死の舞踏」(東京・渋谷シアターコクーン)の準備を行っていた。22日に所属事務所の関係者が連絡しても応答がなく、知らせを受けた岳大が地方ロケから翌23日に戻り自宅を訪ねた。「浴槽で穏やかに眠っている父を見つけました」。警察の司法解剖後、平さんは遺族のもとに戻ったが、死因の特定は数週間かかる。

 50歳を過ぎたころ肺がんになったが手術は成功。最近は足を痛めたぐらいで、イチローも取り組む「初動負荷トレーニング」を取り入れ、足裏マッサージに通うなど体調管理にも努めていた。

 岳大は平さんと女優佐久間良子(77)の長男として生まれたが、84年に両親が離婚し、佐久間に引き取られた。この日は「子供の頃、長い間、父と会わないでいる時間がありました」とした上で「失われた時間を取り戻すように、先輩として演技の師としてそして父として濃密な時間を過ごすことができました」と、30歳で会社員から俳優に転身後に変化した父子関係を明かした。平さんも過去に「息子との話は芝居のことばかり。人生って面白いね。今が一番自分の人生を生きて芝居している感じがする」と口にしていた。

 今年5月、演出家蜷川幸雄さんが死去した。多くの作品でコンビを組んだ盟友の葬儀で、平さんは弔辞を読んだ。代表作「タンゴ・冬の終わりに」のせりふを引用して「僕らはまた、近いうちに再会する」と述べた。それから5カ月。あまりに早すぎる死だった。