上方落語家、桂米団治(57)は、酔っぱらうと、どんな依頼も受け入れる性癖があることが26日、芸人仲間から暴露された。

 この日は、大阪市内で、桂文枝一門の女性落語家、桂あやめ(52)が原案として上演される「女芸人たちの『大奥』~咲くやこの花 上方の乱~」発表会見。あやめが大奥を取り仕切る関西出身のお局、めぐまりこ(48)が「柄の悪いヤンキー」ながら、なぜか上様に見そめられ、正室になる役柄。女たちの争いの最中にいる“上様”に、米団治がふんする作品だ。

 あやめ、めぐは「上様は米団治師匠しかいない。他の誰も思いつかない」と言い、今回で3回目の上演だが、すべて米団治が「上様」を演じてきた。

 めぐは「普段から師匠を『米(よね)さま』と呼んでいる」と言い「酔っぱらったら何でも聞いてくれる」と切り出した。宝塚歌劇通のあやめは「酔っぱらってるところに『娘がエリザベートのDVDが欲しいって言ってる』と言うたら『買うてこい、金払うたる』と答えたんで、翌日買って持っていったら、何? と言いながら、払ってくれた」と明かした。

 米団治といえば、人間国宝で昨年3月に亡くなった桂米朝さんの長男。二枚目のルックスで、外見からも血統の良さをにじませており、男性芸人の先輩からも「ぼんぼん」といじられてきた。やはり、素直な“お血筋”のようで、酒席での記憶にないできごとでも、求められれば、きっちり応じているようだ。

 あやめによると、今回の女芸人による大奥も、もともとは女性芸人だけで公演していたが、規模を大きく、本格化させようと、上様役を物色。米団治にねらいを定め「酔っぱらって、うんと言わせた」ことで、スタートした企画だった。

 13年4月、14年6月に続き、3回目の今回は、大阪市の「咲くやこの花芸術祭2016」(12月2、3日、大阪市中央公会堂)のオープニングプログラムとして、12月2日の初日に上演されることが決まった。

 「上様」と持ち上げられ、上機嫌の米団治は「とにかくやっていて楽しい。普段、米朝事務所ではこんだけ持ち上げられることは、絶対ないですから。日頃の憂さが晴らせます」。米朝事務所では桂ざこば、南光ら、古くからの取締役がおり、米団治はつねに“いじられ”キャラだけに、上様気分は上々の様子だ。

 最後の写真撮影時には、すっかり「上様」になり、両腕にあやめ、めぐを抱え、ふんぞり返って足を投げ出すしぐさ。実は会見の会場は、上方落語協会の定席「天満天神繁昌亭」の舞台で、米団治の真上には、父の米朝が開場時に贈った「楽」の字が飾っていた。

 06年9月15日の開場時、米朝さんの筆がなかなか進まず、必死の思いで開場に間に合わせようと、奔走した男こそ、米団治本人だった。報道陣から「上に師匠の…」との声も上がったが、米団治は「いいんです、『楽』は楽しい、やから、いいんです」と意にも介さず、上様になりきっていた。