著作権譲渡をめぐる5億円の詐欺罪に問われた音楽プロデューサー小室哲哉被告(50)の弁護側は12日、大阪地裁(杉田宗久裁判長)であった第2回公判で、被害者の兵庫県芦屋市の投資家男性に、遅延損害金を含む計6億4800万円を振り込んだことを明らかにした。

 金はエイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人社長(44)が工面。弁護側は今後、被害が回復されたとして執行猶予付きの判決を求めるとみられる。4月23日の次回公判で結審の見通し。

 この日の公判に証人として出廷した松浦社長は、昨年11月の保釈後、共に行ったレストランでピアノを弾く被告の姿を見たことに触れ、「本当に音楽が好きなんだと思った。小室被告がいなければ今のエイベックスはなく、浜崎あゆみも倖田來未もいなかった。まさに恩師だと思った」と工面した理由を説明。

 さらに「社長直轄の部署に席を用意した。刑務所に入れば社会から断絶されてしまう」と実刑回避を求めた。

 千葉龍平副社長(44)も出廷。保釈後、東京都港区の高級マンションを引き払った小室被告と妻KEIKOさんに自宅の一室を提供していることを証言し、「小室被告は慢心していたようで、事件はさもありなんと思った。今は深く反省しており、再びこのようなことは起こらないと確信している」と強調した。

 エ社は1990年代に小室被告がプロデュースした楽曲のヒットで急成長し、現在もKEIKOさんらとのユニット「globe」が所属する。

 起訴状によると、小室被告は2006年7月、これまでの作品約800曲の著作権をすべて持っているよう装い、10億円で譲渡する契約を投資家男性に持ち掛け、「印税収入を前妻に差し押さえられ、解除するのに必要」と言って5億円をだまし取った、としている。

 [2009年3月12日11時59分]ソーシャルブックマーク