【ロサンゼルス4日(日本時間5日)=松本久】歌手秋元順子(62)が、当地のアラタニ日米劇場で初の米国公演を行った。「歌の余韻が耳に残る」といわれる魅力的な中低音を響かせて「愛のままで…」など20曲を熱唱した。58歳の超遅咲きでメジャーデビュー。昨年の紅白で紅組歴代最高齢の初出場、オリコン最年長首位など数々の記録を打ち立てた“アラ還の星”が、また1つ夢をかなえた。

 会場は地元日系人を中心に同世代約600人で埋まった。恋の世界にはしんみりと聞き入り、「このドレス、どーれすか?」など、定番のダジャレには大爆笑で応えた。

 子供のころからラジオの英語放送を聞くなど、外国で歌う夢を胸に秘めて来た。97年に本場のジャズを聴こうと米国各地へ旅行。ニューオーリンズでは、ライブハウスのオーナーから「残らないか」と声をかけられたが、2晩寝ずに悩んで、日本の家族を選んだ。今回のロス公演は、半世紀に及ぶ夢と12年前の心残りをかなえた旅でもあった。「初めて訪れた土地なのに何か懐かしい気がした。あの時に1歩踏み出そうか悩んだ思いが今も胸に残っていたからなんですね」。

 「世界は広いですから」。ニューヨーク、ハワイ…、海外ライブの夢は広がる。最終目標は「ピラミッドの前で歌うこと」という秋元の旅路はまだまだ続く。

 [2009年9月6日9時25分

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