ロックミュージシャン内田裕也容疑者(71=本名・内田雄也)が、別れを切り出した女性(50)に復縁を迫って脅したほか、女性宅に無断で侵入したとして、警視庁原宿署に強要未遂と住居侵入の疑いで12日に逮捕されていたことが13日、分かった。

 女優樹木希林(68)が、逮捕された夫でロックミュージシャンの内田裕也容疑者(71)に「生き方を変えて区切りをつけてほしい」と猛省を求めた。樹木は13日午後、都内の自宅で会見を開いた。内田容疑者が事件を起こすに至った経緯を推測し、離婚の意思はないことを明かした。また、今回の事件と被災地に出向いたこととの関連性にも触れ「寂しいんだと思います」と、夫をおもんぱかる場面もあった。2人は73年に結婚したが、その直後から別居生活を続けている。

 樹木は開口一番「大震災で命懸けで生きようとしている人がたくさんいる中、つまんないことでお呼び立てして申し訳ありません」と頭を下げた。夫に代わる謝罪ではない。「本当の謝罪は本人から。70歳を過ぎていますので頭を下げてもらうなり、弁明してもらうなりしたい」。

 内田容疑者と女性の交際は、女性が元交際相手との間に起こった金銭トラブルを、内田容疑者が解決したことで始まったとした。樹木は「誰に対しても情が濃く、ものすごく執着する。寂しいんだと思います。被災地に2度ほど行った後、鬱(うつ)になったようです。現状を見て、抱えきれない思いを言える人を求めたんじゃないかと思いました」と推測した。

 しかし、事件を起こしたこと自体はばっさり斬った。「(事件になるのが)遅かった。何十年前に起きていてもおかしくない。今まで付き合った多くの女性にもいろいろあったと思います。被害に遭ったら言ってもらった方が内田のためだった。今回さらしてくれたスチュワーデスの方に『ありがとう』と思います」。

 結婚当初から内田容疑者の暴力は絶えなかった。「30代前半はすごかったです。毎晩です。『口で負けるから悔しい』と言っていました。家の中はめちゃくちゃで、包丁をどれくらい買ったか。渋谷警察署に『内田が暴れています』と110番すればすぐに来ていただけるように登録してあります。タクシーで乗り付け、罵詈(ばり)雑言を叫ぶ。何かあった時のために、金属棒を持って出ることもありました」。

 離婚はきっぱり否定した。「純なものがひとかけら見えるから。家族構成が変わることは考えられない。籍を入れた責任上、どうするかを考えたい。自分だけ保身で、夫だけ奈落の底に落とすことはしない。自分の仕事に影響があるのは当然だと思っています。覚悟しています」。

 長く別居生活が続いているが、ファクスで連絡を取り合い、1カ月に1回ほど会っていた。最後に会ったのは4月29日。内田容疑者の母親の命日で、なごやかに食事をしたという。「もう事件を起こしてたのにね」と苦笑するしかなかった。

 今回の逮捕がお仕置きになる?

 と聞かれた樹木は「そうなるとありがたい。今後、世間が反応をするか見えてくる。今まで通りでいけないと分かれば、生き方を変えて区切りをつけてほしい。何かを感じてもらえれば。どう謝るか、男の器量ですよ」。樹木は今回の事件に対し「自分も逃げないで引き受ける」とした。内田容疑者はこの言葉にどれだけ応えられるか。