東京都世田谷区上祖師谷で、俳優宍戸錠(79)の自宅など住宅4棟が焼けた火災から一夜明けた5日、宍戸は警視庁などによる実況見分に7時間にわたって立ち会った。宍戸は、前夜は一睡もできずに憔悴(しょうすい)した様子だったが、気丈に取材に応じた。出火原因は不明としながら「誰かが火を付けたのだろう」と、放火の可能性を示唆。「(放火なら犯人を)捕まえてやりたい」と怒りをあらわにした。今年1月、自宅敷地内で不審者の気配を感じていたことも明かした。

 自宅全焼から丸1日たち、宍戸はこの日夜、自宅近くで重い口を開いた。

 宍戸によると、普段は自宅1階で生活しており、電気ストーブ2台で暖を取っていた。出火当日の午後1時過ぎ、マネジャーである娘と自宅を出る際、電気を切り戸締まりを確認。事務所関係者も「(出火原因は)分からない」とした。強調していたのが不審者の気配だ。「1月に自宅敷地内で人影を目撃した。気配も何回か感じた。(出火の)前日にも気配があった。事務所にも相談していた」と述べ、警察にも事情を伝えたという。

 宍戸はこの日午前9時過ぎから、警視庁などによる実況見分に立ち会った。鉄筋コンクリート3階建ての外観だけが残り、現場周辺にはまだ焦げた臭いが立ちこめていた。火元とみられる自宅を中心に行われ、午後4時まで出火原因などを調べた。

 事務所関係者によると、帰る家を失った宍戸は前夜、都内ホテルに宿泊したという。この日午前には息子で俳優の宍戸開(46)が、自宅に駆け付け報道陣に対応。「鉄筋の柱は残っていたが、中はまる焦げだった」と家の中の様子を語り「衣装なども全て燃えてしまったようだ」と肩を落とした。宍戸の様子についても「かなりショックを受けた状態」と心配そうだった。

 前夜、宍戸が火災の連絡を受けたのは、外出先からの帰宅間際だった。鎮火後に自宅に到着すると、近所のおわびに回った。謝罪を受けた住民によると、宍戸は「ご迷惑をお掛けしました」と、申し訳なさそうだったが、出火原因については「誰かが付けたのだろう」と話していたという。

 東京消防庁は火災原因について、激しく燃えてしまったため出火元を特定するのに1カ月近くかかるとしている。

 火災は4日午後6時ごろ、宍戸の自宅から出火。3階建ての自宅が全焼、周辺アパート3棟にも延焼し、約2時間後に鎮火した。けが人はなかった。宍戸は10年に元女優で妻の游子さんが死去した後は、1人暮らしをしていた。