今回の「ケイバラプソディー」では、明神理浩記者が今週末からスタートする春の京都開催の芝コースに注目した。というのも、今春の京都競馬は例年の6週間と違い、10週間のロングラン開催。2月18日に終了した冬開催の芝の状態が決して芳しくなかっただけに、現状は果たしてどうなっているのか。最新の馬場情報をJRA京都競馬場・馬場造園課の小畑篤史課長に聞いた。

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今年1、2月の京都開催は、とにかく馬場(芝)が悪いという話が騎手から聞かれた。道悪で行われたのは2日間だけだったが、1月20日には逆転現象(芝=重、ダート=やや重)も見られた。小畑課長は3月に赴任。「傷みは大きいと聞いていました。確かに野芝の損傷が大きかったですね」と話す。

京都競馬場は昨年4月に馬場もリニューアルしたばかりなのにどうして? 実はこのリニューアルが大きく関係していた。「通常だと夏に大きな(芝の)張り替えを行うんですが、去年は(春に)1開催しかやらなかったので大きな張り替えをしなかったんです」。

例年なら秋、冬2開催ずつ。そして春開催のサイクル。夏に大規模な芝の張り替えを実施するが、昨夏は部分的な補修しかしなかった。加えて、リニューアルで路盤から作り直しており、秋開催時はまだ路盤が落ち着いていない状態(イメージとしては軟らかすぎる感じか)。そのせいもあって余計に芝が掘れたと小畑課長は言う。

ではどうする? 「普段はこのタイミングで張り替えはしないんですが、このままではもたないので、馬の入場口と外回りの3~4コーナーを張り替えました」と異例の大作業を行った。総面積は2000平方メートルほど。「養生地の芝の量と作業時間的にギリギリでした」。たしかに、直線はあちこちに蹄跡が見られるが、張り替えたところは実にきれいな状態だ。

さらに、内柵も冬の開催で最内AコースからB→C→Dとこまめに移動(例年はA、Bだけ)。今開催も頻繁に動かすことで傷みを分散させる。小畑課長は「見た目は何とか仕上がりました。正直、不安はあります。普段は10週間やってないわけですから。開催中も騎手と意見交換をして整備していきたい」と胸中を語る。

最大の不安は天候。こればかりはどうしようもないが、Aコースでの最初の3週間が鍵になる。きれいな芝で行われる競馬は見ていて気持ちのいいもの。この10週間は、梅雨もあるが、お天道さまに何とか頑張ってもらいたいものだ。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)