ライブドア灰色錬金術にメス
企業の合併・買収(M&A)やニッポン放送株買収騒動などマネーゲームで名をはせ、のし上がってきたライブドア堀江貴文社長(33)。「時代の顔」といわれる半面、その手法は「錬金術」ともいわれた強引な株式分割、法律スレスレの時間外取引などあまりに極端だった。金融やメディア、球界、宇宙への参入をぶち上げ話題も提供したが、結果は伴わずトラブル続きだったのも事実。「人の心は金で買える」と豪語した堀江流マネー哲学はついに、捜査の対象になった。
堀江氏は東大3年在学中の96年、出資金600万円でホームページ制作会社オン・ザ・エッヂを設立。00年4月に東証マザーズ上場で得た資金を使って02年、経営破たんした旧ライブドア社の無料インターネット接続事業を買収。70億円以上かけた事業をわずか2億円で取得した。社名をライブドアに変更し、M&Aを繰り返し企業規模を拡大した。日本グローバル証券、通信販売のセシール、会計ソフト大手の弥生、中古車販売大手ジャック・ホールディングスと手に入れた企業は多岐にわたる。
学生起業家にすぎなかった堀江氏とライブドアがここまで「雪だるま式」に成長したのは、市場の株式分割や株式交換、公募増資など、市場の常識を外れた堀江流のマネー哲学によるところが大きい。いずれも共通の狙いは「実態以上に企業規模を膨らませる」(関係者)こととされる。特に、1株を100株とするような大型の株式分割を繰り返す手法は「違法ではないが脱法行為」(金融関係者)といわれた。これまで計3万株分割したとされ、現在の時価総額は7000億円以上だ。
自社の株価と株数で算出される時価総額を高めて資金調達力を増す錬金術に、「人の心は金で買える」というマネー至上主義。これに加えて、プロ野球参入やニッポン放送株をめぐるフジテレビ買収騒動、衆院選出馬など、定期的に話題をすることで会社の知名度をあげ、市場での株価をさらに引き上げた。
M&Aで得たライブドアの軍資金は肥大し、ニッポン放送株をめぐるフジテレビとの攻防では、フジ側から約440億円の解決金を得た。最近は宇宙旅行参入に意欲を示していた。
しかし、堀江氏の手法に対する風当たりは強い。「ザル法を逆手に取ってやりたい放題だ」と大手証券幹部は吐き捨てる。堀江社長は「法の範囲内」と繰り返してきたが、その戦略にはいつも「市場のルールの網の目をくぐって成長につなげている」との批判が付きまとう。ニッポン放送株買収劇では、東証の時間外取引という“奇手”を使って筆頭株主に躍り出たが、すぐに「網の目」を封じる法改正が行われた。東証も昨年8月、株式分割に伴うルールの見直しに着手せざるを得なかった。
堀江氏は時代の象徴六本木ヒルズ38階にオフィスを構え、隣接する家賃220万円といわれる高層マンションに住む。ヒルズ資本主義の「勝ち組経営者」として君臨したが、強制捜査で表裏一体の危うさが一気に表面化した。16日終値696円だった株価の推移も注目される。
[2006/1/17/08:50 紙面から]
写真=大勢の報道陣や見物人が集まった六本木ヒルズ
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