<クローズアップ文化系 我らNO・1>
秋田県男鹿市の伝統文化「なまはげ」に情熱を燃やすスーパー女子高生がいる。秋田北高1年生の菅原希美さんだ。昨年11月27日、国の重要無形民俗文化財なまはげの正しい理解と活用を目的に、男鹿市観光協会が史上初めて「ナマハゲ伝道師」認定試験を行った。県内外から97人が受験し、菅原さんは唯一、高校生で合格。初代伝道師の称号を手に入れた。
ルーズソックス、茶髪にガングロ…。常に時代の最先端を行き、注目を集めてきた女子高生たち。そんなイメージとはかけ離れて、菅原さんは生まれ故郷男鹿市の伝統文化なまはげに情熱を注いでいる。
「泣ぐ子はいねがー、怠げ者はいねがー」。大みそかの夜。なまはげの面をかぶった男たちが、戸をガタガタと鳴らしながら町中を回り、家に上がり込んで厄払いや翌年の豊作を祈るという伝統行事。観光名所「なまはげ館」から車で10分の距離に生まれ育った菅原さんは、なまはげ伝承会の会長を務める祖父昇さん(61)から3世代、約40年間に渡ってなまはげに携わってきた家柄だ。
「大みそかが近づくとドキドキする。クリスマスよりもなまはげです」。1歳の時から、なまはげの再現劇などに子役として出演。テレビやパンフレットにも度々登場した。「物心付いたときには、もうなまはげが怖くなくなっていた」と笑う。携帯電話のストラップに、なまはげの面を付けていたこともある。伝道師認定試験を受験したのも、自然な成り行きだった。
高校生以上が対象となったテストには県内外から97人が受験。1年生の菅原さんは最年少での挑戦だった。「なまはげを風土論的に説明しなさい」という専門的な記述問題から、面が4つ並んでいて「写真家の岡本太郎が感動したのどの面でしょう」といった選択式まで約20問出題された。
これまでの経験を生かしスラスラと解答。見事一発合格で初代伝道師の認定を受けた。「私よりしっかりしている」と母恵さん(37)も喜ぶ。秋田市内に下宿し、高校では演劇部に所属。カラオケではMISIAの曲を熱唱する普通の女子高生だが、なまはげの話になると表情が一変する。
近年は男鹿市内でもなまはげに携わる若い人は減り、家の中に上げる家庭も少なくなってきているという。「3世代続いた家の1人として、次の世代にもなまはげを語り継いでいきたい。最近は隣の家の人の顔も知らない人も多いけど、地域全体の行事として、伝えていきたいです」。
女子高生伝道師の志は高い。【前田祐輔】
◆菅原希美(すがわら・のぞみ)1989年(平成元年)2月7日、秋田県男鹿市生まれ。鹿山小から男鹿北中に進学し、中学時代は吹奏楽部所属。秋田北高では演劇部。家族は両親、妹、弟、祖父母。曾祖母。155センチ。血液型A。
◆県立秋田北高等学校 1901年(明治34年)秋田高等女学校として創立。48年に現校名に改称。生徒数は女子831人。音楽部、囲碁部などが全国レベル。所在地は秋田市千秋中島町8の1。佐藤勇一校長(58)。
[2005/1/16/11:09 紙面から]
写真=なまはげの面を手にする菅原さん
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