殴るぞ! 本当に殴るぞ! 前半はこんな感じの試合だった。

相手はGKとDFラインの連係ミスが多く、後ろでボールを回すことが多かった。そこで日本は、果敢に殴りかからないといけない。思いっきり突っかけて、2人目、3人目が次々とゴールに襲いかからないと。なのに、にらみ合いのケンカをするように、前に行くふりだけだった。だから前半はつまらなかった。

その反省もあってか、後半は修正できた。これは評価したい。メンバーが変わり、本格的にケンカを仕掛けたら、そこで相手は初めて慌てた。多くのチャンスが生まれ、まさに2点目はそこからの得点。幅広くピッチを使って相手を横に揺さぶったし、中央でも細かいパスで、動きの重い相手の隙を何度か突けた。決定力が良かったら、あと2、3点入っただろう。

この日の相手ウクライナは、本来なら欧州予選を突破できなかったチーム。欧州予選で優勝したイングランドが、英国という国で出場したわけではなかったため、五輪出場資格がなく、繰り上げとなった。実際、動きが重く、これといった武器はなかった。22日に対戦したアフリカのマリ代表の方が強かった。

日本はそのマリ戦は控えメンバー中心、ウクライナ戦がレギュラー組主体だったが、むしろ逆のメンバー構成で戦った方が、今後のための勉強になっただろう。

A代表でも言えることだが、この年代も欧州相手には対応できるね。組織力で挑んでくる相手なら、互角以上の試合ができることは証明できた。問題はアフリカと南米。個人でドリブルを仕掛けるチームには慌ててしまう傾向がある。世界と戦うために、課題をクリアしていかないとね。(日刊スポーツ評論家)