日本代表FW本田圭佑(29=ACミラン)が、18年W杯アジア予選の初陣で、節目の30発を決める。13日は、アジア2次予選シンガポール戦(16日、埼玉)に向け、さいたま市内で調整した。本田はここまで国際Aマッチ29得点。29歳の誕生日を迎えたこの日、得点への意欲を再確認し「若い時のような成り上がり精神を捨てずにいく」と誓った。
真剣な表情が、ほんの少しの間だけ緩んだ。この日は29歳の誕生日。日が沈んだ練習後に、報道陣からケーキを渡されると、本田はうれしそうにほほ笑んだ。「あまり笑顔をバンバン出すタイプじゃないんですけどね」。そう言いながらも、暗闇に光り輝くろうそくの火を一瞬で吹き消した。
「もう(代表で)29点も取っているんですよね。ついこの間、大阪で(代表初得点を)取ったと思っていたけど、時がたつのは怖いくらいに早い。これからは1秒でも無駄にできない。これから先、1点でも多く取っていきたいですね」
代表デビューは16日シンガポール戦の舞台と同じ埼玉(08年6月22日のW杯予選バーレーン戦)だった。刻んだ得点は国際Aマッチ29得点。本田はこれまでの歩みをフラッシュバックさせるように、大阪・長居で初得点を決めた09年3月28日の同バーレーン戦を思い返した。
「1試合への重みを、この年齢で感じるようになった。若い時に感じていた成り上がり精神を捨てずに、1試合にかける、何が何でも勝つという思いを、向上させていきたい」
20代前半は代表で定位置をつかめず、自我の塊だった。勝利よりも、自らの存在を高めることが、優先されていたようにも映る。そんな本田も、大人になった。絶対的な主力となったここ数年は、自我よりも勝利を求めた。昔のようなガツガツ感が薄まってきた今、記念の日に誓ったのは、勝利への執念に加えて「若い頃の成り上がり精神を捨てない」という原点回帰だ。
「今は、自分が認識している自分の良さの枠を、超えようとしている段階。この年齢で、何でもやってみようと。普通なら、自分が持っているものを良くしようとするんでしょうけれど、新しい良さを出したい」
勝利への欲望に、かつて抱いた強烈な「自我」が加われば、新しい本田が生まれる。「(W杯予選は)全部勝たないといけないでしょうね。ホームですから、1点でも多く取る」。まずは初陣のシンガポール戦で狙うは、節目の代表通算30得点。その先に、新たな進化が訪れる。【益子浩一】

