約1年5カ月ぶりに日本代表に復帰したFW大迫勇也(26=ケルン)が、「カシマ凱旋(がいせん)弾」でエースの座を奪い取る。7日午前にドイツから帰国し、国際親善試合オマーン戦(11日、カシマ)とW杯アジア最終予選(15日、埼玉)に向けた茨城県内での合宿に合流した。13年まで5季在籍した慣れ親しんだ場所で力を得て、13年11月の欧州遠征オランダ戦(2△2)以来、約3年ぶりの代表ゴールを狙う。

 「パワフル大迫」として帰ってきた。「ドイツの激しいリーグでやって慣れてきたので、フィジカルには自信を持っている。当たりの部分、プレーも速くレベルの高いサッカーに慣れた。FWで試合にずっと出られているのが大きいです」。技術や速さに加え、強さは加わった。屈強なDF陣を背負っても負けない厚い胸板を張って、他の海外組との違いを強調した。

 14年にドイツに渡り、1860ミュンヘンからケルンに移籍。昨季は中盤やサイドなどでの起用も多く、ストライカーの土俵にすら上がれない状況が続いた。だが、今季は違う。「苦しい思いもしましたし、もうあんな思いはしたくない。僕はセンターフォワードですから」。エースストライカーにこだわる。

 14年3月に結婚した麻未夫人と、先月で2歳となった愛娘をドイツに呼び寄せた。アスリートフードマイスターの資格を持つ妻のサポートも受け、定位置争いに専念。「テレビでW杯予選は見ていません。岡さん(岡崎)を意識しすぎてもダメ。一番は自分が強くなって点をとれるようになること。ゴール前に入れる回数は増えたと思う」。8月のドイツ杯で30分弱の出場で2得点すると、リーグ戦全10節に出場し2ゴール1アシスト。10月にはチームMVP。ハリルホジッチ監督から「フィジカル的なクオリティー、ヘディングも強い」と認められた。

 第2の故郷・鹿嶋市での合宿では1番人気。練習中も「オオサコ~」の声がかかり、フラッシュを浴びた。「僕にとって特別な、一番好きなスタジアムでできる。とにかく結果だけにこだわる。得点を重ねることだけです」。オマーン戦、サウジアラビア戦で決定力不足に泣くハリルジャパンの救世主となる意欲もパワフルだ。【鎌田直秀】