【バンコク(タイ)12日】代表初先発が濃厚な日本代表のMF香川真司(19=C大阪)が、岡田武史監督(51)から異例の特別レッスンを受けた。14日のW杯アジア3次予選タイ戦に向けた非公開調整練習後に居残り練習を命じられ、苦手のヘディングシュートを特訓した。19本中決まったのは5本だけで、監督も「プロなのにヘディングができない」と嘆き節。それでも出場停止のエースFW大久保の代役として1・5列目で起用される可能性が高く、19歳の新星への期待の大きさを物語っていた。

 香川のシュートが、大きくゴールをそれた。1本、また1本…。そのたびに岡田監督は大きなジェスチャーで頭を抱えた。11本目のシュートを打ち終わると、指揮官は「ここに当てるんだ」と香川の頭をポンポンと何度もたたく。効果があったのかは分からないが、その後は3本連続でヘディングシュートを成功した。決まったのは19本中5本だけ。それでも5分間の異例の特別レッスンで、得点へのイメージを高めた。

 香川

 ヘディングは苦手なんです。首の振り方が大きすぎるって言われました。しっかりやらないと…。

 異例の熱血指導を行った岡田監督は嘆き節だ。「プロ選手なのに、ヘディングができないヤツがいるんだ。教えていたわけじゃないよ。バカにしていただけ」。すぐそばで特訓を見つめていたFW大久保も「相当へたくそ。大丈夫か」と苦笑い。練習後には香川にシュートに入る角度を教え込んだ。

 すべては愛情の裏返しだ。指揮官は「(先発の)メドが立った」と説明。タイ戦は1・5列目の位置で香川の代表初先発が濃厚だ。19歳89日でのW杯予選先発は、J発足後最年少になる。本来はボランチで、FWに近い攻撃的なポジションを経験したことはない。決定力には不安が残るが、持ち味のドリブル突破は、タイを攻略する糸口になる。

 「しっかり準備して、いい結果を残せるようにしたいです」と香川。最終予選進出へ。まだ初々しい最年少19歳が、攻撃の突破口を開く。【益子浩一】