<アジア大会・男子サッカー:日本3-0中国>◇1次リーグA組◇8日◇中国・広州

 【広州(中国)8日=鎌田直秀】広州アジア大会1次リーグ初戦の中国戦を行いU-21(21歳以下)日本代表が3-0で圧勝した。日中関係が不安視される中、警察官ら4000人の超厳戒態勢のスタジアムで、FW永井謙佑(21=福岡大)が1得点1アシストの大活躍を見せ、騒ぎ続けた中国人サポーターを黙らせた。スピードで相手DF陣を圧倒し、視察に訪れた日本代表ザッケローニ監督(57)は「永井の動きは素晴らしかった」と絶賛した。経験不足が懸念された関塚ジャパンが、最高のスタートを切った。

 耳をつんざくようなブーイングの中、FW永井が格の違いを見せつけ中国サポーターを黙らせた。前半11分、MF山崎の先制ゴールをアシスト。右アウトサイドで送った絶妙なパスも「狙っていました」と当然のように答えた。

 2点目は自ら決めた。MF東のクロスを頭でトラップし、左足で押し込んだ。「頭でシュートにいこうかとちょっと迷ったんだけど、いいところに落ちてくれた。運が良かった」と照れながら振り返ったが、一瞬でDFを振り切った永井らしいゴールだった。「中国は背も高いのでサイドからというのが共通意識。その通りにできた」と自信の表情。

 得点後は「決めたら集まって喜ぼう」と予告通りの歓喜の輪を作った。それを見た中国サポーターはさらにボリュームをあげてブーイング。駆けつけた警備員に取り押さえられ外につまみ出されるほどの興奮を会場に演出した。

 攻撃だけでなく守備でも貢献度は高かった。1トップとして前線から運動量豊富にプレスをかけた。キャプテンマークをつけた山村も「プレッシャーをしっかりかけられたのが良かった」と評価していた。

 A代表の切り札としても日本代表ザッケローニ監督が視察する前で、好アピールとなった。同監督は「永井の速さは本当に素晴らしい」と絶賛していた。申請していたVIP席のパスが用意できず、観客席での視察となったが、最高の結果に笑顔が広がった。

 反日感情が高まっているデリケートな試合での勝利で選手たちは自信を深めた。永井は「僕はあんまり気にしていないので。ブーイングとかも、とても楽しかった」と平然と戦った。中国代表MF王も「レベルの差がとてもあった。日本のランニング能力は本当にすごい」と脱帽した。

 これまでの日本代表は五輪もフル代表も得点力不足が常に課題としてあった。さらに、国際大会の初戦や、アウェーではプレッシャーから得点機を外しては、終盤に失点して苦汁をなめてきた。それが、大舞台で俊足永井が縦横無尽に走り回るなど、実力をいかんなく発揮した。W杯南アフリカ大会で、日本サッカーは大きな転機を迎えた。その貴重な経験が、ロンドン五輪を目指す若い世代にも確実に受け継がれている。