一触即発のアジア情勢の中、日本、中国、韓国、北朝鮮のロンドン五輪を目指すU-22(22歳以下)代表が、来年7月に中国で集結することが29日、分かった。東アジアサッカー連盟が主導し、極東4国の若手NO・1を決める大会を初めて開催する。2年に1度の東アジア選手権とは異なる大会で今後、4年に1度五輪イヤーの前の年に、定期的に開かれる可能性もある。アジア大会で優勝した日本は、最強メンバーを構成して臨む予定。現在、日本、中国、北朝鮮は参加OKを出しており、韓国の参加決定を待つのみとなった。

 北朝鮮の韓国・延坪(ヨンピョン)島砲撃で緊張が高まる中、サッカー界では「U-22緊急特別4カ国対抗戦」(仮称)の初開催が大詰めを迎えた。東アジア選手権を主催している東アジアサッカー連盟が主導し、ロンドン五輪を目指す若い代表の大会を初開催する。来年7月初旬に中国(開催都市は未定)で、日本、中国、韓国、北朝鮮のU-22代表が集まり、4国総当たりの大会が開かれる。

 東アジア連盟の会長でもある日本協会の小倉純二会長(72)は「日本と中国、北朝鮮は参加できるという返事をもらっているが、韓国は日程上の問題があって消極的で、返事を保留している。今後も根気よく交渉して実現させたい。積極的に話していけば、解決できると思う」と前向きな見解を述べた。

 延坪島問題の南北に加え、尖閣諸島を巡る日中対立、広州アジア大会中に中国国内で広がった反日感情激化など現在、4国の利害関係は複雑に絡んでいる。しかし、地域内の積極的な交流で結束を強め、東アジアのサッカーを発展させるとともに、サッカーを通じた平和への貢献を目的として、02年5月に設立された東アジアサッカー連盟だけに、開催実現に向け、積極的だ。

 日本は広州アジア大会で、大学生、J1の控え選手やJ2選手が軸となった事実上の“2軍”で、初の金メダルを獲得した。来年7月に開催される大会は、ロンドン五輪アジア最終予選を2カ月前にした最終腕試しの場となる。同時期は、A代表が南米選手権に出場することで、リーグ戦の日程を入れておらず、G大阪FW宇佐美らが招集可能だ。アジア大会金メダルのメンバーをベースに、J1で実績を残している選手で構成される、最強メンバーがそろえられるチャンスでもある。

 現在は、2022年W杯招致を目指し、日韓両国がそれぞれ立候補しており、「U-22緊急…」への動きは、招致活動が終わる12月2日以降、加速化するとみられる。大会参加に消極的な韓国だが、オーバーエージ3人を加えたベストメンバーでアジア大会銅メダル止まりだったことを考慮し、優勝した日本との直接対決を希望する可能性は十分ある。

 今までになかった五輪世代の真剣勝負。大会が成功すれば、今後は4年に1度の定期戦に発展する可能性もある。政治的問題で、生みの苦しみに直面している若手の大会が、アジア平和に一役買うかもしれない。