柏はホームで強敵・全北(韓国)を下し、E組1位で決勝トーナメント(T)進出を決めた。FW武富孝介(24)の2得点など前半だけで3点を奪い、後半に2点を返されたが逃げ切った。今大会の日本勢では初めての16強進出となった。

 ドリブル突破の勢いのままに、武富はゴール裏へ走った。1点リードの前半20分、ドリブルでするするとゴール前へ上がった。DF4人に囲まれたが、狭さは気にならなかった。コースを見極め、右足でゴールを決めた。さらに同39分、FWクリスティアーノの低く鋭い右クロスに飛び込み、左足を合わせた。相手との駆け引きでスペースを作る動きや、前線からの守備でも勝利に貢献。「ゴールを決めて勝てて良かった。(吉田)監督から冷静に行けと言われていて、その中で戦えた」と話した。

 韓国Kリーグで22戦無敗と圧倒的な強さを誇る全北から、2得点を奪った。ACLでは1次リーグ5戦3発。プレーオフを含めれば計4得点と、相性の良さを発揮した。理由を聞かれると「よく質問されるけど、分からない」と照れた。柏の下部組織で吉田達磨監督(40)の指導を受け、FW工藤らとプロ入り。その後はJ2熊本、湘南と期限付き移籍を経験した。昨季は湘南で39試合9得点と結果を残し、吉田監督に呼び戻された。ACLは全試合、リーグ戦でも5試合に出場しており、指揮官の信頼は厚い。

 チームは後半に相手の個人技から2失点。それでもGK菅野の好セーブや、体を張った粘り強い守備で逃げ切った。Jリーグ代表としての意地だった。前日、浦和が同じ韓国の水原に負けて敗退が決まった。水原の徐監督は「韓国人選手は、日本人選手より技術は少し劣るが、スピードやこぼれ球の競り合い、粘り強さで通用している」と、Jリーグの当たりの弱さを指摘。そのニュースを携帯で見た選手の闘争心に火がついた。DF輪湖は「気迫や気持ちで負けたくなかった。日本を代表して、上に行きたい」と胸を張る。

 ACL決勝T進出は、12年、13年に続き3大会目。アジアへ、そして世界へ、柏がJリーグの強さを見せつける。【保坂恭子】