J2札幌MF小野伸二(35)が18日、札幌ドームサブグラウンドでの札幌大との練習試合(45分3本)で、復帰後初めてピッチ全面を使った実戦に出場した。左膝を負傷した2月26日のJ3山口との練習試合以来、約3カ月ぶり。2本目途中から左FWで出場し、63分間プレーした。得点はなかったが、実戦の中で自ら課題をあぶり出すなど、戦列復帰に向けた貴重な時間となった。

 復帰弾は“お預け”も、状態を推し量るには意義のある63分だった。小野は2本目27分から左FWで出場。久々の11対11の実戦とあり、序盤はリズムをつかめず苦戦したが、その中で、しっかり見せ場はつくった。

 まず同40分、MF菊岡からの右クロスをオーバーヘッドキックでシュート。相手GKの好守で無得点も、ここからギアは上がった。3分後の43分には、中央からふわりと柔らかいタッチの浮き球で、DF裏に抜け出したFW前田に絶妙な縦パスを通した。前田のシュートはDFにブロックされたが、精度の高いラストパスで、存在感を示した。

 「どこでどういうパスを出すのかというような判断は、試合でしか感じられないもの。そういう意味では、試合ができたのは良かった」。9日に札幌大との10対10の練習試合に30分間出場も、ピッチ3分の2の広さで実施したものだった。スペースも出場時間も増えた中での本格的な実戦を経て、試合勘は徐々に上がってきた。

 ここからは、チーム戦術の中で、いかに自分の良さを発揮していくか。そのためのヒントはつかんだ。この日のプレーについて「個人的にはまだまだ。どうしてもパスを出したくなってしまう。あのポジションで出るなら、もっと前に向かっていく動きが必要」と自己分析。スペースをみつけて球を受け、前を向いて決定的なパスを出すのが特長だが、強引に切り込むのも「あり」。新たな小野像構築を、戦列復帰へのテーマに掲げた。

 キャンプ期間に練習試合7戦に出場も、既に3カ月が経過。バルバリッチ体制で出た公式戦は、昨年11月23日のシーズン最終戦、磐田戦の終盤2分と短い。ここから再度、チームとすり合わせ、微調整を重ね、次節24日徳島戦メンバー入りを狙う。【永野高輔】

<小野の故障から復帰まで>

 ▼2月26日 熊本合宿中のJ3山口との練習試合で左膝を痛め途中交代。熊本市内の病院で検査し、左膝内側の半月板損傷と判明。

 ▼同28日 埼玉の病院でMRI(磁気共鳴画像装置)検査。

 ▼3月5日 埼玉の病院で左膝半月板損傷の内視鏡手術を受け、半月板を部分切除。4月4日まで同県内でリハビリ。

 ▼4月5日 札幌入り。

 ▼同7日 宮の沢でトレーニングを再開。

 ▼同22日 チームの全体練習に合流。術後初のフルメニュー消化。

 ▼5月9日 札幌大との10対10の練習試合(30分1本)で実戦復帰。1ゴール、1アシスト。