2連覇を狙う昨季3冠のG大阪が絶体絶命の立場に追い込まれた。1点リードの後半41分にDFオ・ジェソク(25)が一発退場。数的不利に陥ったロスタイム、まさかの2失点でホームで手痛い逆転負けを喫した。2度のリードを守れず、FW宇佐美貴史(23)も不発に終わった。年間勝ち点3位で勝ち上がった執念を第2戦で再び見せるしかない。

 万博で悲劇が起きた。Jリーグが開幕した93年から使用されてきた喜びも悲しみも刻まれたスタジアム。J1最後となる本拠で、天国から地獄へと突き落とされた。2-1の後半41分、DFオ・ジェソクの退場で10人となった。ロスタイムの表示は5分。直後に同点とされ、焦りの色が出た。そして試合終了間際。MF今野のスローインがカットされ、勝ち越し点を献上。昨季はここで数々の勝利を挙げ、3冠の歴史を打ち立てた長谷川監督も会場を包む大ブーイングを聞き入れるしかなかった。

 「リスタートからやられた。2-2にされて少し落ち着きがなくなった。もう少し慌てなかったら3点目は与えるはずのない得点だった。もったいない。これが現状のうちの力です」

 1度、2度と連覇に王手をかけた。後半15分、FW長沢が相手のパスミスを逃さず一瞬の隙を突いて先制。同点とされるも、今野が一時は勝ち越し点を決めた。しかし、現実はあまりにも残酷だった。MF遠藤は「2-1で守り切れれば良かった。落ち着いてゲームを終わらせていれば」。

 G大阪が第2戦の90分間で逆転優勝するには2点差以上の勝利、1点差の勝利なら4得点以上が必要となった。奪われたアウェーゴール3点が重い。それでも遠藤は「あわてずに90分間やりたい」と意気込む。万博は26日の天皇杯が正真正銘のラストゲーム。その前に奇跡の逆転2連覇、そして天皇杯と合わせた2冠へ。G大阪はまだ夢を諦めない。【小杉舞】

 ▼JリーグCSの逆転勝ち 98年第1戦で鹿島が磐田戦(0-1→2-1)、99年第2戦で清水が磐田戦(0-1→2-1。その後PK戦で清水は敗退)で記録したのに次いで3度目。過去2度は90分終了時は同スコアで、延長戦に突入しての逆転勝利。90分間で逆転勝ちしたのは今回の広島が初めてになる。