プレミア級の“新兵器”導入なるか!? J2札幌は11日、熊本2次合宿の2日目を迎え、午前と午後の計約4時間、戦術練習などをこなした。午後からは、オーストラリアに本社を置くカタパルト社の「GPSアスリート・トラッキングシステム」を選手の体に装着。日本代表FW岡崎慎司が所属する英国プレミアリーグ、レスターなどが活用中の新システムを“お試し”した。

 澄んだ青空の下、戸惑いと興味が渦巻いた。午後練習のアップが終わった直後、選手たちは次々と配られた黒い“物体”に袖を通した。「ブラジャーみたい…」。身に着けたのはカタパルト社(本社オーストラリア)が開発した「アスリート・トラッキングシステム」というもの。背中には、小型のGPSや加速度計などの内蔵センサーが入っており、その場でパソコンを開けば練習中の選手の動きが瞬時に示され、最高速度、加速度回数や走行距離など、さまざまなデータを収集出来る、優れものだ。

 日本ではなじみのない技術だが、サッカーの本場、欧州では多数のクラブが採用している。同社製のものは、現在、プレミアリーグのレスターが導入。同社の担当者は「長期的にデータを取ることで、個々の運動量の基準値が分かる。オーバーワークを避けられ、ケガの予防やリスク回避に役立ちます」。乏しい資金力のレスターが、世界最高レベルのリーグでいかにして首位に立っているのか。一因として主力に故障者が少ないことから、効果はそれなりにありそうだ。オーストラリアが五輪でメダルを量産するため開発した技術で、「ワラビーズ」の愛称で親しまれるラグビー代表も使用している。

 Jリーグでは、柏が今季からの導入を決めた。札幌は検討段階で、今回はあくまで“お試し”のみも、FW都倉は「前から少し気にはなっていた。数字だけでは見えない部分もあるけど、うまい具合に使えばパフォーマンスの向上につながるかも」と前向き。四方田修平監督(42)は「選手の状態が客観的に把握できる。調子が悪いなら、より良い状態に近づけるよう導くこともできるしね。選手は(練習で)手を抜けないから大変か」と苦笑いも、高評価だった。