横浜の元日本代表MF中村俊輔(37)が、頭脳的FK弾を決めた。最初にFKを得た前半11分は、ぬれた芝に足を滑らせ失敗。同40分に訪れた2度目のチャンスで蹴り方を変えた。普段は横からスパイク裏が見えるほどまで体を右に倒し、軸足の重心をアウトサイドで支えて遠心力で蹴る。1回目に蹴り損なったため、次は足裏をしっかり芝に付けてスライダー気味の弾道をゴール右へ突き刺した。

 「最初は自分の蹴り方でやったら(軸足の)側面を(ぬれた芝に)付けすぎちゃった。だから滑らないことを意識して強く蹴った。(弾道は)見てないよ。転ばないように(重心を)縦にCKみたいに蹴った」

 初めて訪れたG大阪の新スタジアムは、懐かしい薫りがした。09-10年シーズンに在籍し、わずか半年余りで退団を余儀なくされたエスパニョール(スペイン)の本拠地に似ていた。

 「入ってすぐエスパニョールみたいって思ったね。いい思い出がないから、嫌な感じだけどね」。鳴り物入りで移籍しながら故障に泣き、出場機会が激減。シーズン途中で放出され、10年W杯も不振のまま終えた苦い思い出がある。この日のFK弾は自身の持つJ最多を更新する22点目。3連勝に導き、衰えを知らない姿を見せた。【益子浩一】