チーム最年長のベテランGK黒河貴矢(35)が復活に向けて本格的に動きだした。J1新潟は27日、第9節甲府戦(30日・デンカS)に向けた練習を行った。2月に右ひざ膝蓋腱炎(しつがいけんえん)の手術をした黒河は、この日から全体練習に合流した。ここまでリーグ2番目に多い16失点と守備が安定しない中、経験豊富なベテランの練習復帰は、チームを落ち着かせる好材料になる。

 ピッチに吹く強風も、照りつける日差しも、新鮮だった。「みんなと同じ時間、ピッチで過ごせてよかった」。今季初めて全体練習に入った黒河は、午前10時過ぎから約2時間の練習メニューをこなした。

 6対6などの実戦形式には入らなかったが、ビルドアップからのシュート練習では、約40本ほど生きたシュートを体感した。MF伊藤優汰(23)、MF野津田岳人(21)のシュートをセーブする場面もあったが、「感覚はまだまだ。コンディションを上げないと」と満足はしていない。昨季終盤に右ひざを痛め、2月17日に手術。診断は全治2カ月だった。まだ球際の感覚など十分ではない。

 黒河は最終節でJ1残留を果たした12年、終盤の6試合でゴールマウスを守った。チームはリーグ戦3連敗中。16失点は19失点の湘南に次いで多い。守田達弥(25)、川浪吾郎(24)の2人のGKが苦闘を続けている。吉田達磨監督(41)は「落ち着きのある黒河が練習に戻った意味は大きい」と存在の大きさを認める。

 リーグ戦出場は昨季の最終節柏戦が最後。「これから(GKの)競争に入る段階」。早急な試合出場は頭にないが、「ここまで戻れた。1日1日を大切にしたい」と、実戦復帰に意欲的だ。【斎藤慎一郎】