東京五輪世代のホープがJ1初ゴールを決めた。福岡MF邦本宜裕(18)は0-1の後半11分、ドリブルで持ち上がって豪快な左足シュートで決めた。J1出場3試合目での初ゴールは、97年1月1日以降生まれのJ1選手での初得点となった。福岡は2-3で柏に逆転負けし、今季初の連勝を逃した。

 1点を追う後半11分、センターライン付近でボールを受けたMF邦本は、約30メートル前に進んだ。柏DFの逆を突き、中に切れ込むと、シュートコースが開けた。豪快に左足を振り抜くと、ボールはゴール左隅に吸い込まれた。J1出場3試合目、前節湘南戦に続く2試合連続の先発出場でJ1初得点。邦本は「シュート打つのは決めてた。自信になった」。毎日欠かさない居残りシュートの「成果が出た」と振り返った。

 記念の1発は、東京五輪世代のJ1第1号でもあった。「そうだったんですか? 意識はなかった」と笑った。3分後には左サイドからクロスで勝ち越し弾を演出。同31分に足がつり退いたが、2得点に絡んだ。

 1度はサッカーをあきらめた。浦和ユースに所属していた13年10月、天皇杯3回戦山形戦でクラブ史上最年少(16歳8日)で公式戦出場し初得点。だが、指導方針などに反発を覚え、地元の北九州市に戻った。「精神的にも不安定だった」。10月から通信高校に通ったが「とにかく遊んでいた。プー太郎」。約半年ボールはほとんど蹴らなかった。

 だが昨年1月、実績を評価されて福岡から声がかかった。「サッカーを出来るのがうれしい」。昨季はJ2の4試合に出場。17年U-20W杯出場を目指すU-19日本代表候補に選ばれるなど、輝きを取り戻した。

 4年後の東京五輪は出るだけでは満足しない。「自分がいないとだめという選手になりたい。負けず嫌いなので、人に引っ張られるより、自分で引っ張った方がいい」と言う。井原監督も「決定的なパス、シュートを打てる。楽しみ」と期待。強気な発言もある。苦しさも知る。大化けしそうな18歳が出てきた。【上田悠太】

 ◆邦本宜裕(くにもと・たかひろ)1997年(平9)10月8日、北九州市生まれ。3歳でサッカーを始める。「FC NEO」から浦和ユース。趣味はボウリングで最高スコアは230。利き足は左だが、投げるのは右。好きな食べ物はカレーライス。「人のまねで追いついたとしても、その人は越せない」との理由から目標の選手はいない。家族は祖母、両親、兄、姉。173センチ、74キロ。

 ◆東京五輪世代 20年の東京五輪が現行と同じ「23歳以下+オーバーエージ最大3人」で実施される場合、出場資格は97年1月1日以降に生まれた選手となる。この「東京五輪世代」で、J1リーグ戦の出場経験があるのはこれまで16人。得点を挙げたのはこの日の福岡FW邦本が初めてとなった。最多出場選手は神戸MF増山の15試合。増山は97年1月の早生まれで今季がプロ2年目。97年8月生まれで、U-19日本代表の主力FW、磐田の小川航基はJ1リーグ戦の出場はないが、ナビスコ杯で2試合無得点。