J2熊本FW巻誠一郎(35)が“夢の2トップ”で避難所に笑顔を届けた。チームがオフだった24日は、宇城市と熊本市の避難所で、協力者とともに炊き出しを行った。そこにサプライズゲストとして登場したのが、歌手の大黒摩季(46)だった。

 大黒は地震直後から巻のもとを何度も訪れ、一緒に被災者支援活動を行ってきた。巻はSNSで「物資の配布から炊き出し、マッサージ、おじいちゃんおばあちゃんの心のケアまで、オールマイティーに『Wマキ』としてガンガン熊本のために動き回ってくれています」とつづっている。

 2人に親交ができたのは、ウソのような理由があってのことだ。06年W杯直前。ジーコ監督の日本代表に抜てきされだした巻は、FW大黒と2トップを組む機会があった。スポーツ紙などはこれに反応し、人気歌手の大黒摩季にちなんで「大黒摩季(巻)コンビ」と見出しを打った。

 なんとこれがきっかけで、2人は紹介されて知り合うことになり、現在に至るまで交流を続けているのだという。巻はSNSで「いつもメールで『次、何したらいい?』って。バイタリティーに満ちあふれた姉さんです」と震災以来、こまめに連絡を取り合っていることを明かしてもいる。

 この日は大黒が、もう1人のサプライズゲストを伴っていた。女優の藤原紀香だった。震災直後、被災者を心配するブログ記事が炎上。現地に足を運びにくい状況になっていた。

 大黒を通じて藤原の苦悩を聞いていた巻は「絶対に熊本のみなさんは喜んでくれます。全然ウエルカム! 待ってます!」と伝え続けていた。そんな後押しもあって、藤原はついに被災地に入り、炊き出しなどの支援活動をすることができた。

 巻はその様子を「熊本のみんなを、老若男女問わずすべての人の心を癒やすパワーはすごかった。女神さまみたいな人でした」とつづっている。

 この日はドルトムントの日本代表FW香川も巻のもとを訪れ、一緒に子供たちとサッカーをした。巻は「うれしいサプライズは、何度来てもいいものです」とこの日のSNS記事を締めくくった。巻がサッカーを通して培った人脈が、被災地を元気づける大きなムーブメントをつくっている。