後半戦はドロー発進。J2札幌は2位C大阪に0-0で引き分けた。前半39分にGKク・ソンユン(22)が接触プレーで左胸部、腹部、大腿(だいたい)部を負傷して途中交代。トラブルの中、交代出場のGK金山隼樹(28)を中心にJ1昇格のライバルを無失点に抑え、アウェーで勝ち点1を積み上げた。連勝は4で止まるも5戦負けなし。22戦で14勝4分け3敗の勝ち点46で、首位をキープした。

 湿度76%の蒸し暑さ、GKの負傷交代を乗り越え、札幌が貴重な勝ち点1をつかんだ。前半33分、好守を連発していた韓国U-23代表のGKクが、相手FKのこぼれ球をセーブした際に接触し、左胸部、腹部、大腿部を打撲。その後6分プレーも、痛みが引かないため同39分、大事を取って金山と交代となった。

 いきなり出番となった金山だが、落ち着いた対応で、前節まで9戦連続得点していたC大阪攻撃陣をゼロで抑えた。「ソンユンが、それまで体を張っていたから、自分もやらなきゃという気持ちでピッチに立った。交代の前に何度か接触プレーがあったし、試合の流れも見ながら、準備はできていた」。後半24分にはC大阪のFW杉本の強烈なミドルシュートを右横っ跳びして、はじき出した。

 リベンジの舞台だった。クがU-23韓国代表の親善試合で不在だった6月4日千葉、8日松本戦は、計5失点で1分け1敗。それまで6連勝していた流れが止まった。「あの試合が大きかった。落ち着いて自分のやるべきことをやればいい。今回はそう思って入れた」。無念の中で迎えた6月12日の誕生日には、最年長のMF河合らにプレゼントを贈られ激励された。先輩たちの厚意も、逆境からはい上がる力になった。

 首位攻防戦での意義あるドローだ。試合後、四方田監督は「選手が最後まで100%出しきってくれた。本当によくやってくれた」とたたえた。誰かがケガをすれば、誰かが代わりに出て活躍する。長丁場を勝ち抜くチーム力が徐々に出てきた。

 「ゼロで抑えられたのは良かったが、自分たちが狙っているのはJ1。さらにレベルを上げていかないと」と金山。自身も左手首の痛みを抱えながら、C大阪の攻撃を必死で食い止めた。総力を結集し、後半戦も首位を守り抜く。【永野高輔】